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水泳のお時間
【その他 官能小説】

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水泳のお時間〜2時間目-8

「桐谷。よそ見しないで。ちゃんと練習に集中して」

動揺して何度も後ろを振り向いてしまっていると、瀬戸くんに再び注意されてしまった。
慌てて顔を前に戻したわたしはとっさに唇をかむ。
集中してなんて…そ、そんなこと言われても…
こんな姿、ほかの人に見られたって恥ずかしいのに、よりにもよってそれを、しかも一番見られたくない瀬戸くんの目の前で、こんな…こんな恥ずかしい格好…っ

「〜〜〜っ」

だけどそんな事…口に出せるはずがなくて、わたしは角にしがみつく両手に力を込め、今にもあふれそうな羞恥心を必死にこらえる。
そうしている間にも、わたしの脚は瀬戸くんにされるがまま開いたり閉じたりを繰り返して…そのたびに何度も水着のスカートがひるがえった。
その瞬間、わたしは堪えきれずギュッと目を押しつぶる。

やっぱりだめ!恥ずかしいよ!



「や、やめて!!」

その瞬間、わたしは自分でも驚くくらいの大きな悲鳴をあげたかと思うと、瀬戸くんの手から脚を必死にふりほどいて立ち上がり、逃げるようにプールの隅っこへと駆け出した。
そしてそのまま瀬戸くんに背を向け、おびえたように体を縮こませる。

「…桐谷、今年は泳げるようになりたいんだろ?そんな練習に身が入らないようじゃ、いつまで経ってもうまくならないよ」

背を向けたままひとり体を抱きしめて震えていると、後ろから瀬戸くんの声が聞こえてきた。
彼のその言葉に、わたしは思わずギュッと唇をかみしめる。
…瀬戸くんの言うとおり、今年こそは絶対泳げるようになりたい。
泳げないことがコンプレックスの自分と早くさよならをして、そして自分に自信を持って前向きになれたわたしを、瀬戸くんに見てもらいたいって強くそう思ってる。
その気持ちは誰にも負けないくらいある。あるのに。
だけど……

「じゃあ今日はもういいよ。終わりにしよう」

とっさに何か言いかけようと顔をあげたそのとき、瀬戸くんがため息まじりにつぶやいた。
その言葉に、わたしはハッと後ろをふりかえる。

「今日は全然集中できてないみたいだし、もう帰っていいよ」
「!ご、ごめんなさ…ち、違うの。わたし…そういうつもりじゃ…」
「桐谷がそんな気持ちじゃいくらやったって同じ。意味ないよ」
「………」

瀬戸くんのそっけない一言に、わたしは返す言葉を失ってしまう。
しばらくそのまま何も言えずにいると、瀬戸くんは無言のままプールサイドへあがり、使ったビート板を戻しに倉庫の中へと入って行ってしまった。
ひとり学校の大きなプールに取り残されてしまったわたしは、震えあがる体を必死におさえる。

どうしよう。怒らせちゃった…。


「…桐谷?」

プールに取り残されたきり、あれからずっと動けずにいると、ふいに後ろの方から瀬戸くんの声がした。
その瞬間、わたしの肩がビクっと震える。


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