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School days
【学園物 官能小説】

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School days 02-3

図書館は俺達がいた河原からチャリで15分程の所にある。真っ白い建物で屋根が赤い、三階建ての市立図書館だ。
中は平日にも限らず比較的込んでいて、俺達みたく学校帰りの学生がちらほら居た。うわー、みんな頑張ってんだな…こりゃ俺も負けてらんねーぜ!
負けず嫌いな俺は闘志が燃えてくんのが分かった。

それから閉館の7時まで、俺はひたすら机にかじりついていた。あ、もちろん笠松サンに数学は教えたぜ。俺ってば凄すぎ!

閉館を告げる音楽を背に、俺達は図書館を出た。
「あ、すごーい!」
笠松サンが走って行き、俺の数?前で立ち止まる。
「見て、星!」
空を指差し、彼女は笑って振り返った。
うわっ、なんじゃこりゃ!空に散らばる星々。キラキラ瞬き、こっちを見てた。
「はー…すげぇ…」
笠松サンの横に並び、声をあげた。まさに∞そのものだった。

「私、宇宙研究所に勤めるのが夢なんだ」
空を見ながら、笠松サンが言う。
「宇宙ってまだまだ謎がいっぱいでしょ?だからたくさん調べたいことがあるの」
俺は笠松サンを見た。彼女は空を見上げたまんま。
「でもね、そういうとこに勤めるには凄く頭がよくないといけないんだ」
彼女は淋しそうに笑う。
「大学も、偏差値高い所にしか学科がないんだよ」
俺はもう笠松サンから目が離せなかった。表情から気持ちが痛い程分かる。
「やっぱ現実見るべきかなぁ…」
「何言ってんの」
俺の声に笠松が空から目を離す。
「諦めちゃ、どーにもなんないだろ。頑張ってればさ、ほんの少しだって希望はあるんだから」
あ、なんか俺クサい台詞言ってねー?ばっかだな…
「可能性はさ、頑張ってる限り∞にあるわけよ」
うわー、恥ずいっ!
居ても立ってもいられなくなって、俺はチャリに向かって歩き出す。
「ありがと…っ」
後ろからの声。
「早く行こうぜ、家まで送ってやるから」
俺は恥ずかしくて背中で答えた。


「嬉しかった、さっきはありがとう」
冷たい秋の夜風を受けながら、俺達はチャリを漕ぐ。
「いや…なんか偉そうにごめん」
「全然。あ、私んちここなんだ」
笠松サンがチャリを止めた。なんだ、もう少し一緒に居たかったな―…えっ!?俺何考えてんだ!?
「そ、そっか、じゃーな」
気持ちをごまかすように慌てて別れを告げる。
「待って!」
方向を変えた俺に笠松サンが声をかけた。
「また…一緒に行かない?図書館…」
心臓が大きく鳴った。
「い、行くよ!毎週でも毎日でも行く!」
あまりの嬉しさに俺は思ったままを言った。その後で後悔の念に襲われる。
何言ってんだ俺…。毎日ってまるで…

「…嬉しい、じゃあ毎日一緒に行こ?4時半にあの河原で待ち合わせ」
笠松サンが俺に微笑んだ。俺はまたしてもキョトンとする。
「いいの…?」
「嫌なの?」
嫌な訳あるかっ!俺は左右に首を振る。
「約束ね」
「うん」
「じゃあ気をつけてね、刹時くん」
あ、俺の名前…。
俺はペダルを漕ぎながら、後ろ手を振った。

明日は俺も「暁」って呼ぼう。それで一緒に図書館行って勉強して、また家まで送るんだ。俺達はまた少し近くなるだろう。この距離ばかりは∞だったら困るなぁ。いつかは距離がゼロになればいいって思ってるんだから。
「ああ、明日が待ち遠しいぜ!」
思わず俺は満天の星空に叫んだ。


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