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School days
【学園物 官能小説】

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School days 02-2

「みちゃった?」
肩をすくめて、まるで悪戯っ子のようにそいつは笑う。
「ばっちり」
俺はピースして答えた。そして、そいつは一度視界から消えてから荷物を持ってきて俺の隣に座る。
「呆れたでしょ?女なのにって」
鞄からタオルを出して服を拭く。
「いつも言われるんだよねぇ、みんなに」
困った顔で女は笑った。
「麻生くんは何やってんの?こんなとこで」
俺は答えようとしておかしなことに気付く。何で俺の名前知ってんだ?こいつの名前なんて、俺は知んないぜ?
怪訝な俺を見て、女がえーって顔をする。
「麻生くん、もしかして私のこと分かってない?」
「もしかして」じゃなく、「完全」に分かってない。
「ほら、笠松暁(あきら)だよ、2年ん時に同じクラスだった」
笠松…?うーん、記憶に無いねぇ。2年なんて部活しか頭に無かったからクラスメートは仲良かった野郎共しか分からんのよ。
「麻生くんて顔に正直に出るんだね…」
「あ、ごめん…」
「いいよ!」
笠松サンが立ち上がる。
「じゃあどーも邪魔したね」

「俺さぁ」
何故だか言いたくなった。無償に笠松サンに言いたくなった。
「∞って大好きなんだ」
笠松サンはきょとんとして俺を見た。そして高らかに、大きな声で笑った。
でも、それは全然嫌な笑い方じゃなかった。
「あの、数学に出てくる…言葉っていうか数字っていうか記号っていうか?」
笑いながら笠松サンは言った。俺はうん、と頷く。
「限りがないものねぇ」
彼女は空を見上げた。俺はまた、うん、と頷く。
「漠然とした言葉だけどさ」
彼女は両手を空に向ける。腕まくりをしたブラウスからすらりと伸びた、色白の腕。
「ものすごく聖なる、清いものって気がする」
あ、同じ感覚。
俺が思った瞬間、笠松サンは勢いよくころんと飛び込み前転した。柔らかな動き。
今度は川まで行くことなく、すくっと立ち上がった。
「おー…」
思わず俺は拍手していた。すげぇや、俺なんて体コチコチだからな。あんな滑らかに動ける訳ない。
「お粗末様でした」
にこっと笠松サンが笑う。それにしても、公衆の面前で前転する女なんて初めて見たぜ。一生もんかも。
「んーっ、やっぱ動くの気持ちいーっ」
笠松サンが伸びる。
「部活やりたいなぁ。麻生くんも陸上やりたくならない?」
「ぁぁ、時々な。あれ、俺が陸上部だったの知ってんだ?」
「あっ、うん。ほらっ、よく全校前で表彰されてたし!」
笠松サンの声が慌てているのは気のせいだろうか?
ま、あんまり気にすることじゃねーよな。
「勉強は、進んでる?」
彼女の言葉に俺は首を振る。進んでたらこんなトコいねーって…
「だよね、私もなんだ」
沈黙。あー、どうして受験生って暗い話題になっちゃうんでしょう?答えは「現実見ちゃうから」なんだろうな。
「ま、悩んでちゃ進めないから頑張るのみだよ。なっ!」
俺は立ち上がって笠松サンに笑いかける。笠松サンも笑った。
「じゃあ俺も勉強するわ。またな」
背を向ける俺。土手を上がる。

「あ…のっ!」
そんな俺にかかる声。
「今から図書館で勉強するんだけど、一緒に行かないっ?」
俺はキョトンとして笠松サンを見た。
「∞のとこ、分かんないんだ…」
∞?ああ、数学の「極限」のことか。∞ならまかしとけだ。俺は笑う。
「いいよ」


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