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「深夜の病室」
【制服 官能小説】

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「煉獄のかげ」-1

真新しい制服に袖を通すと、鏡の前で舞はくるんと一回転してみる。
黒い紗なりのワンピースに白いブラウスとリボンが舞にはよく似合っていた。

この楼に売られたときに、学校に通うことは諦めていただけに、先日、楼主から与えられた“ご褒美”は舞にとって望外の喜びとなった。

舞が現在暮らしている「花屋街」は政府によって隔離・保護されている公的な売春街にあたる。
義務教育のため、中学までは街中に存在するが、高校以上の学術機関はない。
その為、舞はこの街の外にある高校へ通うことになる。
それは春をひさぐ「花姫」にとってどんなに“特別”なことかは、この街に来てまだ日が浅い舞は知らなかった。

「くっくっく…」

低いバカにしたような声がして舞が振り返ると入り口にもたれた楼主がこちらを見て笑っていた。

「いつまでも自分に見とれてると遅刻するぞ」

いつから見られていたのだろう。
瞬く間に舞の顔が朱に染まる。

「準備が出来たならさっさと行くぞ」

瞬く間に身を翻した楼主を追って、舞も慌てて鞄を掴む。
朝の光が目に眩しい。
昨晩は、緊張と興奮の為あまりよく眠れなかった舞は、楼主の運転する車が走り出すと直ぐにうとうとし始める。
学業に支障が出ないよう、客を取るのは金曜と土曜の晩だけになることになっていたが、先週はずっと出ずっぱりだった。
まだ馴染みの客が出来ておらず、毎晩違う男を相手にするのは人見知りの気が少しある舞にとって、結構神経を使う事だった。
昨日は休みだったとは言え、1日休んだくらいでは舞の心身の疲れは取れそうもなかった。
そこら辺を、楼主も汲んでいるのか、舞を起こそうとはせず黙って車を走らせる。

カーラジオが朝の6時を告げていた。

楼を出てから約40分で車は学校に到着した。
都内で駅徒歩10分の位置にあるとは思えないほど、周囲は緑に囲まれており、瀟洒な学舎は知性の高さを感じさせる。
まだ眠たげな警備員に用向きを告げ、舞と楼主が通されたのは応接室であった。
案内をしてくれた事務員が去ると直ぐに年かさの男性が現れる。
部屋に入ると彼は何故か入り口の錠を下ろし、窓のカーテンを閉め始めた。
その作業が終わってからようやく舞たちの向かいに腰を下ろす。
彼こそが、この学園の校長であった。

「別所 舞さんね」

ふんふんと呟きながら彼は楼主の用意した書類に目を通す。

「うん。前の学校の成績を見る限り、特に問題はないね」

その言葉にホッとして舞の緊張は少し解ける。

「だけど、いくら理事長命令だからと言っても編入試験もなしに入学させるのもねぇ」

校長の声が、急に粘着質を帯びる。

「担任の先生が舞さんを迎えに来るまで後1時間ほどある。その間に簡単な編入試験をしても構いませんかな?知力検査と体力測定、それに健康診断を兼ねたようなものですが」

何、そんな難しいものではないと首を振る校長に反対する謂われはなかった。


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