腐肉(その3)-1
気が遠くなるほど長い時間、僕のアヌスは男の指で弄くられ、その指に絡められた男の唾液をたっぷ
り含んでいた。
シャンデリアの淡い灯りの中で、僕の身悶えする息づかいだけが聞こえてくるようだった。
窓の外から電車の走る音が遠くに聞こえてくる。固いベッドを覆った褐色の斑の染みのあるシーツか
らは、どこか女のパンティについた蜜色の汚点の臭いのようなものが僕の鼻を微妙に刺激した。
「いい具合に尻穴がゆるんできたな…本番はこれからだぜ…」
男はうつぶせになった僕の髪をかき上げ、僕の頬をやさしく撫でながら言った。
僕は虚ろな目をゆっくりと男の股間に向けた。そこにはすでに固く勃起し反り上がった生々しい太い
肉茎が、まるでそれ自体が生き物のように揺れていた。蒼く浮き出た血管は毒々しくその脈を打ち、ぬ
るぬるとした赤黒い包皮はすでに淫らに濡れていた。
「尻をあげるんだ…」
僕は後ろ手に縛られた上体をくねらせ、ベッドのシーツに顔をねじ伏せ、脚の膝をつき高々と男の前
に臀部だけを持ち上げた。
「きれいな餅肌の尻だ…女の尻より綺麗だな…」
男は僕の尻肌を生あたたかい湿った掌でゆっくり撫でさする。そして潤んだ尻芽を確認するように僕
の双臀の割れた翳りに鼻先を寄せた。
「いい、臭いだ…」
男は僕の尻穴の臭いを嗅ぐように顔を押しつけながら、その翳りを舐めるように舌を挿入するのだっ
た。それはナメクジが尻穴に入り込むようなぬるぬるとした淫靡な感触だった。しだいにナメクジのよ
うな舌は僕の肛門の入り口で激しく蠢くのだった。
「あっ……」
僕はその痺れるような舌のねばりに菊芽がひくひくと震えるのだった。
男は満足するように僕の尻から顔を離すと、僕の臀部を両手で抱え込み、尻の割れ目に男のものを挿
入しようとした。
男の硬い肉根の先端がぬるりと僕の狭隘なすぼまりを探っていた。
そして肉棒の先が僕の尻の芽をゆっくりとらえ、太く長いものがそのすぼまりに分け入るようにゆっ
くり挿入されようとしていた。そして僕自身の男根もぶるぶる震えながら、その挿入される快感を予感
するように腹部と付着するくらい亀頭をもたげ勃起していくのだった。
「肛門の力を抜くんだ…」
男のぬめった先端は尻壺のすぐ手前まできていた。僕の尻穴の肉は、それを拒絶するのではなく、そ
れを早く咥えることを望んでいるかのように肛門をゆるませていた。それはまるで処女の秘肉が男のも
のを待ちこがれ、蜜液で濡れ花唇を喘がせるのと同じだ。
一瞬僕は息を吐くと、体全体の力を抜いた。そして肉芽のまわりの筋肉が一瞬弛んだかと思うと、僕
の肛門の肉襞は男の一物の先端をとらえ、内奥にねっとりと絡めながら受け入れていくのだった。
「うっ、ううっ…」
痛みが直腸全体に走り、腰全体が硬く太い異物を呑み込んでいるようだった。そして男が挿入したも
のは、荒々しく突き刺すように僕の肛門の入り口の粘膜を刺激していた。
男が上体を少しずつ反り、腰をじわりじわりと押しつけてくるごとに、男の太い肉塊はぬるりぬるり
と徐々に僕の肛門の奥深く挿入されていくのだった。
男の股間の硬く茂りきった陰毛が僕の臀部の皮膚をチクチクと刺すように粘着し擦れ合い、股間から
伝わる甘美な痺れに、僕は呻きを洩らしながらも卑猥に腰を揺らしていた。
「もっと、尻を振って奥まで呑み込むんだ…」
男は興奮するように言葉を吐く。
僕はしだいに熱くなる肉奥に身悶え、男の体に覆われ包まれることの嗜虐の愉悦に、大きく体をのけ
ぞらせていた…。男の肉体の芯から発せられる生あたたかい不気味な脈動が、肉棒をとおして強く僕の
体の中に伝わってくるようだった。