太樹と紀久-4
「何キョロキョロしてんの?」
太樹の肉の感触に、紀久はどきどきした。
「さっきも太樹さんだったんですか」
「さっきって?」
「お尻触られたんですけど」
「触ってないよ」
そう言いながら太樹は、手のひらで紀久の尻を撫でた。
「やっぱり!」
「違うって」
笑いながら太樹は、紀久のわきや胸、尻や下腹を突っついたり撫で回したりした。そうして、紀久がじたばたするのをおかしがった。
「勃ってんの?」
「だって、触るから」
「若いな」
からかうように二、三度、紀久のそれをしごくと、太樹は紀久を解放した。そんな二人を周りの連中がニヤニヤしながら眺めている。美少年の紀久が体をいじられてバタバタしているのが、かわいかったのだ。
再び体を洗う間も、紀久の興奮は収まらなかった。初めて太樹に握られ、しごかれて、今までにないほど大きく、硬くなったそれは、隠そうにも手では隠しきれない。
「元気だな」
「立派なもんついてるな!」
太樹についてシャワー室を出て行くとき、左右からからかわれ、紀久は恥ずかしくてしようがなかった。
さっきとは別の脱衣室に出た。太樹に借りたタオルで体を拭いた後も、紀久のそれは天を突く勢いだ。
「そんなに良かったか?」
OBが寄贈してくれたマッサージ椅子に腰掛け、太樹は紀久を見ている。
「だいぶ恥ずかしいんですけど」
恨めしそうに紀久が言いながら、タオルで前を隠す。
「そのまま帰るわけにはいかないな」
太樹は立ち上がると、紀久の手から容赦なくタオルを奪い返し、左肩にかける。また紀久のそれがあらわになる。
「部室寄るから来い」
サッカー部の部室はその脱衣室から、いったん外に出てすぐ向かいの古い木造のクラブ棟にある。太樹は自分用のサンダルを置いていたが、初めてここに来た紀久の分はない。
「仕方ない。おぶってやる」
太樹の上体にしがみつき、背中に股間のたかぶりを押し付けて、紀久はひそかに快感を覚えた。脚を抱えられ、自然と後ろの穴が広がった。
向かいの建物にはいると太樹は、紀久を下ろし、近くの戸をたたいて名を告げた。
すぐに戸が開き、中から学生服を着た一年生が顔を出した。
「ああ、キク」
そう呼ばれて紀久は慌てた。
「コースケ!」
まさか同級生に、こんなところを見られるとは。そういえば昂介もサッカー部員だ。
「もう勃ってんの?」
昂介はニヤニヤしている。
「知り合い?」
太樹が尋ね、昂介が説明する。昂介の方も、太樹と紀久の関係を知りたそうだったが、太樹は無言で紀久の背中を押し、中に入れた。
太樹に続いて、奥の部屋に入ると、十数人の部員がいた。ほとんどは紀久たちと同じようにシャワーを浴びてそのまま来たのだろう、一糸まとわぬ生まれたままの姿だ。ただ寝転がっている者もいれば、雑誌を見ている者、古いテレビで再生したディスクに見入っている者、一心にしごいている者、後輩にしごかせている者 もいる。紀久は、さっき昂介が「もう勃ってんの?」と言った意味が分かった。ここに来て、しごいたりしごかれたりするのは普通のことなのだ。