陽だまりの詩 6-11
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「おはよう」
「おはようございます」
今日も俺は奏のリハビリを見学することにした。
二人で談笑しながらリハビリテーション室へ向かう。
車椅子を押す作業にもすっかり慣れたが、奏の頑張りが報われて、もう押すことがないようにしたい。
奏ならやれる。
その思いを読んだかのように、奏はしゃべりだす。
「春陽さん」
「ん」
「私、頑張りますから」
「あ、ああ」
「私、春陽さんと隣り合わせで歩きたいです」
顔を見えなくても、今の奏の真っ赤な顔は想像できる。
「俺もだ」
「はいっ!」
奏が歩けるようになったら言おう。
好きだと。
そんなことを考えながら、最後の角を曲がる。
「先生!」
どうやら例の美人先生が待っていたようだ。
どんな人だ?
じっと顔を見る。
「わっ」
俺は車椅子を押すのをやめていた。
急停止に奏は驚く。
「春陽さん?止まっちゃってどうしたんですか?」
「……」
目の前には、アキが立っていた。
「…ハル」
「…アキ」
こんなこと、予想できるはずもなかった。