約束…2-3
「んんっ…」
唇の隙間から吐息が漏れる。
息苦しいくらいに長いキスは、真鍋の嫉妬の証。
「真鍋っ…」
真鍋の体を押すようにして唇を離すと、真鍋の唇はあたしのピンク色のグロスがべったりとついて光っていた。
「やめて、こういうこと…」
あたしがやめて、という理由。
ただ…抱かれる資格がないと思っているから。
「あたし、雪人と寝たわ。
坂下と恋人なのも知ってて雪人のこと誘ったの。
そんな女のこと、まだ抱きたいと思う?
寂しかった…
真鍋が他の女の子に彼女がいないって言ってるの見て、すごく寂しかった。
だから雪人のこと誘ったの」
真鍋の顔が見れない。
見てしまったら、きっと泣いてしまうから。
「――松本さんのこと彼女だって言えたら…どんなに楽か…」
え…?
今、何て…?
「俺だって松本さんが彼女ですって言いたかった。
だけど――自分の中で、松本さんが彼女だなんて確信、どこにもなかったから」
手を握る真鍋の手が震えてるのが、あたしの手に伝わる。
真鍋は下を向いて、唇を噛みしめてた。
「社長に、『松本の男か』って、『お前だけだと思う』って…
何で赤の他人が松本さんの気持ち知ってるのに俺は知らないんだろうって――
俺は松本さんが真鍋だけって言ってくれても、信用することなんてできなかったから…」
「真鍋…」
あたしを抱き寄せて、真鍋がゆっくりとキスをする。
そしてあたしの首筋にも唇を這わせて。
「真鍋…
だめ…ここじゃ…人来ちゃう…」
「嫌だ。
だって最後に松本さんに触ったのが俺じゃなくて社長っていう事実が許せない。
それとも…社長がいいですか?
社長とヤッたなんて許せないですよ。
松本さんを犯してしまいたい」
「あっ…」
脚と脚の間にするり、と入り込む手。
あたしのそれが…熱くなるのがわかる。
「あたし…抱かれる資格ない…
雪人と寝たのよ…?」
「その『社長』に松本はお前だけだと思う、って言われて信用しないわけないですよ…
抱いた張本人が…自分じゃなくて俺だって認めてるんだから」
「あっ…」
指先で優しくあたしのそれを撫で回すから、直接触って欲しいと思ってしまう。