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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 4-3

「悪い!待たせた!」
ガラッと勢いよく扉を開ける。

「……」
「……」

奏ちゃんは服を着替えていた。

「うわっ!」
慌てて扉を閉めて廊下にへたり込む。
「やばい」
心臓がバクンバクンと忙しなく跳ねる。

そりゃあ汗かいたら着替えるよな…

濡らしてきたタオルを自分が使いたくなるほど顔が熱い。


一瞬視界に入った、白くてきめ細やかな肌…


「ああああ」

本当に頭から煙が出ているような感じ。

普通ならありえないことなのに、果てしなく年下の女の子の着替えを見てしまうだけでこんなになってしまう俺…
やっぱりひどく意識してるんだよな、俺。


しばらくうずくまっていると、どうぞ、と室内から声が聞こえる。
のろっと立ち上がり、ゆっくりと再び扉を開けた。

「……ごめんな」
「私こそすいません、天道さん帰りが遅いから」
「……考え事しててな」
恥ずかしくて顔を見ずに折りたたみ椅子を開いて座る。
「考え事?」
「ああ」
「それって、私のことですか?」
「……え?」
思いがけない言葉を耳にした。
バッと顔を上げると、彼女は相変わらず顔を赤らめてベッドに座っていた。
「……」
「ほ、ほら、もう遅いかもだけど、これ」

俺ははぐらかすしかなかった。
本当にガキのようだ。

「あ、ありが…」
奏ちゃんは俺から濡れタオルを受け取ろうと手を伸ばした。
だがその瞬間ふらつき、前のめりになってベッドから落ちそうになる。
「っと」
俺はとっさに奏ちゃんを抱きかかえた。

そのままだと頭から床に落ちていた。
一瞬のことだが間に合ってよかった。

「はぁ…はぁ…」
「え?」
奏ちゃんは顔を真っ赤にして息を荒くしていた。
「おい!大丈夫か!?」
「っ…はぁ…」


美沙が初めて発作を起こしたときのことを思い出す。


「奏ちゃん!」
俺はぎゅっと抱きしめた。

安心させるため。
聞こえはいいが、俺はつい本能でそうしてしまったとも思う。


大好きな子を抱きしめられる。
そんな幸せなことはないから…


「とっ、とりあえず…ナースコールを」
「待って…ください…」
「え?」
「このまま…」

ヤバい。
事態は急を要するだろう。

だけど俺は…
その腕を解きたくなかった。

奏ちゃんがずっとそうしておいてほしいなら…

離さない。


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