unknown quantity〜未来への道〜-3
「なっ!…お前は何様もつもりだ!?」
宗也は背中にあった長剣を手に取り麻里香に向けた。対する麻里香は目を閉じ、意外性のある言葉を言った。4人は騒然となる。
いや、体育館全体が騒然とする言葉。それは、
「イメージアテリアライズ!」
麻里香の両手に銃が現れた。そして、銃口が宗也に向けられた。
「!!」
宗也は驚き、殺られると思ったが一人の言葉に麻里香が怒られた。
「…はいはい。止めなさい、麻里香さん?退学させますよ?」
いつの間にか、舞台上にマイクを持った若い女性が居た。スラッとしたスーツで身を包み、インテリ眼鏡を掛けていた。
「!…紗緒梨(さおり)おば様。……すみません。…イメージキャンセラー!」
麻里香が一礼し、幻想具現化を消した。
「解ればよろしい。…そこの4人も座りなさい?立っていたは始められませんよ?」
『は、はい!』
紗緒梨が笑顔で言った。4人はあまりの事に素直に座った。右から順に新村 菜津未(にいむら なつみ)、海谷 月都(かいたに つきと)、真霜 宗也(まそう ときや)、静山 雪江(しずやま ゆきえ)と並んでいた。
「さて…、初めまして!!天城(あまぎ) 紗緒梨です。知っている人、手挙げて〜〜!」
マイクがキーンと鳴った。だが、そっちが問題じゃなかった。紗緒梨の発言だ。全員は度肝抜かれたように見た。
ハイテンションなのだろうか。まるで、酒を呑んだような雰囲気だった。この様子を見ていた舞台脇の1人が喋る。
「…誰か、母さんに酒を呑ませた?」
と言った。
「す、すみません!ど、どうしてもって言うので…。」
スーツを着ていた男性が普段着の男性に申し訳なさそうに言った。
「いや、いいよ。はぁ、母さんはあがり性だったのを忘れてた僕のせいだ。」
普段着の男性が落ち込んだように言った。
「ど、どうしましょうか?」
スーツの男性が聞く。
「……マイク貸してくれる?こうなったら僕が出る。」
普段着の男性がマイクを受け取ると、表舞台に歩き始めた。
《…参ったな〜。あまり公に出たくないのに…。仕方ないか……はぁ。》
紗緒梨が男性に気が付くと喋る。
「ん?…なぁによ?奏真(そうま)?貴方は出ないて言ったじゃないのぉ。」
完全に酔っている状態だ。その証拠に紗緒梨はフラフラしながら立っているし、顔全体が赤くなっている。
「…母さんは下がってて。僕に任せて裏で座ってなさい!」
奏真は少しキツい口調で言った。