夜に芽吹く向日葵-2
私は気付くと病院のベッドの上だった。
看護師の癖に、酒に溺れ、薬を大量に服用しなければ眠れなくなっていた。
目覚めた私に、一番最初に話しかけてきた男が彼だった。
ネクタイをきっちり締め、その上から真っ白な白衣を着ていた。
私は元々、この仕事に向いていなかったのかもしれない。
そもそもなりたくてなった訳でもない。
学費がかからず、住む部屋も与えられ…
経済力を付けられるといったらこの資格を取る位しか思いつかなかったからだ。
友人たちの中には、医師という職に惚れる者もいたが…
私には全く興味が持てる人種ではなかった。
今、彼と関係を結んでいるのは…
私は患者として、彼と出会ったからかもしれない。
半分眠りについた夜、いつものように玄関をノックする音。
彼はここに来る夜、事前に連絡などしてこない。
まるで私が出迎えることが当たり前だと思っているのだ。
私は、決して色気があるとは言えない寝衣で彼を出迎える。
しかも、この眠気…到底笑顔にはなれない。
「寝てたのか?」
彼は淡々と言う。
(こんな時間に…当たり前でしょう)
体調を崩してから、クリニックで外来の簡単な仕事だけしている。
だから、看護師とはいっても、もう夜起きているなど無理な話だ。
「ん…明日は鍵当番だから」
「早いんだな…」
だからと言って、彼は悪びれた様子もない。