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学園の社長〜社長の連盟騒動〜
【ミステリー その他小説】

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学園の社長〜社長の連盟騒動〜-3

その様子を感じ取ったのか滝沢は俺の方をポンポンと叩く。強く叩きすぎて痛い。
「まーまーそんな硬くなるなよ。この学校も慣れると楽しいもんだぜ」
確かに積極的に加われば楽しくなりそうだが、これは長引きそうだ。まあ生徒たちも乗り気だからいいんだろうけどな。
 ようやく生徒総会を終えた俺たちは、授業を受けるために教室に戻った。ここ明奉学園では集会用のホールと校舎は別々に分かれており、ホールから教室に行くのに、わざわざ外を通って校舎に入らなければならなかった。やれやれ、学園の敷地がやたら広すぎるのも問題だと感じるぜ。
 教室に入って一番後ろの窓際にある自分の席に行くと、隣の机で突っ伏して寝ている奴がいた。
「遅刻かよ。いいご身分だな」
 俺が声をかけてもその男は一ミクロンも動かない。その男の魂は今現在どこかに旅立っているようである。これが四月に仲良くなった一人の錦田という男だった。きれいに切りそろえられたマッシュルームカット。そして細身で長身だが、やや猫背ぎみの背をして少しだらしなく見える。おとなしめで、あまりクラスで も目立たず、休み時間はもっぱら読書などをしている一見どこにでもいそうな根暗な生徒だ。たまたま席が隣だったのと、珍しいキャラをしているので転入早々なんとなく俺と仲良くなったのだ。友達がいないのか、こいつと仲がいいのは俺だけかもしれない。
しばらくすると錦田はむくりと起き上がり、こちらをちらりと見た。
「なんだ、君か。おはよう」
 といって会釈した後、再び机に突っ伏して動かなくなってしまった。いつもながら少し渋みがかかっていながら落ち着きのある、聞き取りやすい声だ。
「おはよう、じゃねーよ。朝の生徒総会なんでこなかったんだよ。いろいろと重要な決定があったってのに」
「ちょっと急な用事ができてな。生徒総会は今回もすごかったらしいな」
 錦田は突っ伏したままいった。とりあえずは
「ああ、今度この学園にカフェテリアが出きるんだってよ。そんなわけで、みんなのテンション上がっちゃって、凄い盛り上がりだったぜ」
「ほう、それはすごいな」
 錦田はこっちも向かずに答えた。それは明らかな生返事だと分かる。どうやらそわそわして落ち着かない様子だ。
「どうした? カフェテリアができるってのに驚きも喜びもしないのかよ。あの汚い食堂から解放されるんだぜ」
 奴は動かない。あまりの反応のなさにこちらのほうまで冷めてしまう。
「どうしたんだよ。急な用事ってのは俺らの昼食環境が変わることよりも大事なことなのかよ」 
「ああ、予想外だ。まさかこんな事態になろうとは」
 錦田はそうつぶやいて頭を抱えながらぶつぶつと呪文のように何かを言っている。一度奴は精神病院に行ったほうがいいかもしれないと本気で思った。とにかくこの男の考えていることは俺にはさっぱりわからなかった。まあいつものことだ。ほっておくのが一番だろう。
すると突然、錦田は頭を上げこちらに勢いよく振り向いた。俺は思わず怖じ気づく。
「種山田君」
「な、なんだよ。改まって」
「明日から三日ほど休暇をとる。担任の倉木先生に伝えておいてくれ」
「はぁ?」
「こっちから出向かねば、この学園に乗り込んでくるだろう。あの人を学園に入れたら面倒なことになりそうなのだ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。話が俺に追いついていない。まず、何を言っているのかさっぱり分からん。よく考えてから言葉をいえ」
 俺は錦田を落ち着かせると、コホンと喉を乗らした後、両手をすりあわせた。


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