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学園の社長〜社長の連盟騒動〜
【ミステリー その他小説】

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学園の社長〜社長の連盟騒動〜-2

西暦二〇一四年を迎えて新学期からしばらくたった、五月上旬のことだ。
俺は高校二年生になり、親の都合でこの明奉学園に転入してきたのだった。前の高校では特にやることもなく、帰宅部に所属しているのだ。帰宅部の日課のメニューである『学校から帰ったあとの昼寝』と『友達と学校帰りに遊ぶ』を日々こなしてるのだ。部活に打ち込まない青春というのも悪くないだろう。とにかく俺 はどこにでもいる普通の高校生、まあそういうことだ。
そして今俺は年に数回開かれるという生徒総会にこの学園の一生徒として参加しているのだ。生徒総会は朝の授業前に行われ、これがある日は後に始まる授業時間が短縮され、ちょっぴりうれしいのだ。生徒総会の舞台であるホールは前の高校のボロ体育館にくらべて最新式の設備が整っていた。各生徒の座席がそれぞれ 用意してあり、映画館のようなホールだった。
 そして生徒総会は異様な盛り上がりを見せており、なにか新しい企画の立ち上げや決定があるたびに激しいアクションでパチパチと拍手している奴もいた。生徒総会など一つ前の高校では俺的メンドクサイ行事ベスト5に選んでもいいくらいで、サボる奴も続出しただから、これは激しいギャップである。
 ホールの一番前の壇上にいる二人の女子生徒が生徒総会の進行させていた。新しい生徒会長は、ショートカットの小柄なかわらしい女の子だった。学園の制服である紺色のブレザーに、膝よりやや短めのカーキ色のチェック柄スカートという姿だった。それにしてもこの子は生徒会長という割りにはおとなしそうな子だ った。もう一人のセミロングの髪の女子生徒が、滑舌のよい声で生徒総会を完全に仕切っていた。彼女のほうははきはきとしていて、行動的といっていいな。生徒会を盛り上げているメンバーの一人だろう。
 この学園の生徒会に驚かされたのは実はこれが最初ではないのだ。
あれは確か俺が転入して間もない始業式だった。全生徒会長から世代交代の発表をつげた、新しい生徒会長が就任のあいさつをした直後、突如として大物のアイドルグループ(名前は忘れた)が飛び入り参加してきたのだった。新しく編成されたいきなりとんでもない大仕事をやってのけたのだった。これには春休みボケ の雰囲気がまだ残っていたホールの生徒たちも一気に沸いた。俺はというと、一体何が起きたか分からずに唖然とその光景を見つめていた。おとなしそうな生徒会長の仕業というよりむしろ、生徒会執行部の彼女の友人たちがその背景にあるらしい。そしてこれ以後、前の代に増して新しい生徒会は、明奉学園中の生徒達の人気をつ かんだのだった。
 そして生徒総会もこんな調子で信じられないほどの盛り上がりを見せている。まるで何かのパーティのようだ。今度はなにをやらかしたのだろう。
「えらい大騒ぎだな。なんかいい事でもあったのかよ」
 俺は隣の席にいた友人の滝沢に声をかける。滝沢はたまたま俺の前の席にいた男で、その気軽な話しやすさと気さくな人間で、転入してからすぐに仲がよくなったのだ。まあ悪く言えばタダのナンパ野郎だけどな。
「え、お前こんな事態を聞いてねーのかよ。今度この学園にカフェテリアができるんだってよ」
 滝沢は興奮しているらしく、声を荒げて続けた。
「それも前の食堂よりも 広くて味も保障されているらしいぜ。腕利きの料理人を何人か雇って、通常のメニューに加えて特別メニューもできるそうだ。これで無事に食堂のオバちゃんたちは多忙の日々から解放されて会計専門に落ち着くってわけだ」
 やけに情報が早い。そんな情報を一体どこから仕入れてくるのか。滝沢は情報通(自称)でウチの学園の教師から生徒会の裏情報まで知っているらしい。
「なるほどな。ってかそれじゃ前の食堂いらないじゃんかよ」
「いやいや、ここからが凄いんだ。噂じゃ前の食堂は改装されて、別のスペースに使うらしいんだ。それも生徒会が企画してるそうだぜ。それは今度生徒たちから意見集めて話し合うんだって」
「はあ、そりゃまたすごいな」
 俺は現在の光景に納得した。なんという積極さだ。相変わらずウチの学園はやることのスケールが違うな。そんな予算が一体どこからでてくるのか不思議である。
『それでは、この採決に賛成の人は拍手をお願いします!』
 司会役の女子生徒が抜けのいい声で言った。その途端に、ホール中に生徒が拍手する音が響き渡った。
『どうやら賛成のようですね。これで今回の件は決定しました』
ステージの中心にいた生徒会長の女の子は『みんな、ありがとう』と邪気のない笑顔を振りまいた。この学園に来る前の高校の生徒総会なんて、行事はさっさと終わらせるのが目的だっために、こんな採決をとらずにさっさと決定してしまっていた。司会側も生徒側もやる気がなかったために何かを決めようというより、 形式だけ済ませてせっせと帰ろう、というのが双方の暗黙の了解だったのだ。そのためこの学園のガンバリすぎな生徒総会の光景をみて俺は、まるで異国の地に降り立ったような違和感を覚えた。まあ四月にあった新入生歓迎会の凄さで一度慣れているが、一年もの間ヌルい環境に慣れてしまった身としてはあまり居心地がよくない ようだ。


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