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拝啓、あたしのヒーロー様。
【純愛 恋愛小説】

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拝啓、あたしのヒーロー様。-3

ある日の朝、いつものように急いで学校へ行く支度をしていた。

そんななかでも、小町は毎朝新聞を読むのだ。

新聞と言っても大手の新聞社が発行している新聞ではなく、小町が住む県にある新聞社が発行している新聞だ。

この日もいつものように、新聞の一面からテレビ欄まで目を通す作業が始まった。




え?

小町は一瞬わからなくなった。

自分の目を疑う。

しかし、何かを確かめたくて、もう一度その記事を凝視する。

そこには“吉良正大、ノーヒットノーラン達成!10奪三振!”と大きく取り上げられていた。

吉良正大…。

それは小町が最も好きな人の名前。

小町の目は間違っていなかった。




忙しい朝にも関わらず、小町はその記事を精読する。

紙面であったが、久しぶりに正大を感じられて嬉しかった。




正大が小町と同じように進学校に進み、野球で結果を残して、新聞に載った。

閉鎖的で真面目一辺倒な田舎の進学校という自由がない檻の中で、野球で名を馳せている正大が、小町には輝いて見えた。

まるで、それは夢のように。

小町は自由がない檻の中で、骨を折ってくたびれていたウサギだった。

強がっているけれど本当は淋しがり屋の弱いウサギだった。

そんなウサギに夢という名の光を照らしてくれた。




また正大クンに助けられちゃったな…、ありがとう。

小町はそう心の中で呟きながら、一人でニヤッと笑った。


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