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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉前編-4

「ちょっと触ってみていい?」

「開けるなよ。」

許しを得た貴未は興味津々で扉に手を伸ばした。触れた瞬間から妙な気配にとらわれる。

カルサは瑛琳から信号があったと黙ってしまった千羅を待って扉を開けようとしていた。思ったより表情は良くない。

「貴未、どうしたの?」

マチェリラが貴未を気遣う声にカルサは反応した。そこには扉に手を当てたまま、いつもと違う様子の貴未がいる。

「どうかしたのか?」

「え?あ、いや…なんか変な感じがして。」

「変な?」

貴未の不思議な発言に二人は距離を縮めた。具体的に自分でも原因が分からない貴未は首を傾げて悩み始める。

「そういや、マチェリラみたいに太古から未来に送られた人と、千羅みたいに生まれ変わりや末裔の人はどうやって見分けんの?」

貴未の素朴な疑問にカルサとマチェリラは顔をあわせた。二人して考えこむ。

「なんだろな。オレの場合は感覚だな、御剣関係者か位は分かる。古の民かまでは…顔に見覚えがあったらかな。」

「私はハッキリと分かるわ。」

マチェリラの言葉に二人は大きく反応した。

「私は竜族だもの。人より…第6感ていうの?それが働いて誰がそうかは分かるわ。」

へぇ、と二人から感心のため息がもれた。改めてマチェリラの存在に圧倒されてしまう。


「だから貴未、貴方が御剣関係者でないのにカルサトルナスの名を知っている事に驚いたの。」

苦笑いしながらマチェリラは話した。その言葉に貴未もカルサも表情を曇らせる。カルサは目を伏せがちになり、遠い目になった。

「まさかこんなに仲が良いとは?」

貴未はカルサの頭を少し乱暴に叩き明るくマチェリラに言ってみせた。貴未のその言葉をきっかけに場の空気が明るくなる。

マチェリラはほほ笑み、そうねと笑った。それを見届けた貴未とカルサの目が合う。無邪気に笑いかける貴未にカルサもつられて笑顔になった。

「皇子!」

少し離れていた所から千羅が駆け寄ってきた。

「千羅、行けるか?」

そう言ったものの、千羅の苦々しい表情が不安をかきたてる。

「何があった?」

カルサと千羅の作る緊迫した状況に貴未とマチェリラも引き込まれる。

「すぐに戻りましょう。国が危ない。」

「シードゥルサが?」

「どういう事だ?」

あまりの内容に貴未も詰め寄った。


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