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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉前編-3

「なんだ?ここ。」

界の扉を目の前にして貴未は間の抜けた声を出した。

右も左も上も下も、何処を見ても同じ景色。数えきれない扉が等間隔に並んでいる。一歩進んだら最後、もう自分の位置が分からなくなるような迷路だった。

「ここは界の扉。貴未のような力が無い人は、ここから世界を行き来するの。」

マチェリラの説明に貴未は口を開けたまま頷いた。歩けているのが不思議なくらい、貴未は先で足を進めるカルサを感心する事しかできなかった。

もう一度辺りを見回してみる。

「うぇ…酔いそう。」

苦笑いするマチェリラをよそにカルサと千羅は足を止める事無く目的地を目指していた。

一瞬、千羅の表情が歪む。

「どうした?」

「いえ、瑛琳から信号が。」

そうカルサに答えた後、千羅は難しい顔をして黙ってしまった。気にしながらも足を進め目的の扉を視界に捕らえた。

「着いたぞ、貴未。」

無数の扉に目を回している貴未は助かったと言わんばかりにカルサの下へ駆け寄った。そしてついに目的の扉を目の前にする。

「ここ?」

貴未の問いにカルサはそうだと答える。しかし納得していないのか、しばらく扉を眺めた後また周りを見回した。

貴未の行動を不思議に思い、カルサは彼の名を呼んで何かを尋ねた。

「他の扉には文字が書いてあるのに、ここだけ何もない。」

その事に疑問を持っていたのは貴未だけだった。

「その必要が無いのよ。」

最初に答えたのはマチェリラ。

「ここにある全ての源になっているのが総本山オフカルス。ここは特別な場所、始まりの場所だからな。」

次に答えたのがカルサだった。全ての源になるこの御剣総本山オフカルスへの扉には何も記されていない。

「すっげーなぁ。お前そんなとこの皇子様なんだなぁ。」

「改めて言うなよ。」

この緊張する瞬間に貴未が言った言葉はわざとかは分からない。でもカルサの心を和ませるには十分な仕事とだった。

マチェリラは二人のやりとりを見て微笑む。一度は反発をしたとはいえ、事情を知りカルサの事を気に掛けていた。貴未という存在に改めて感謝せずにはいられない。


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