『訪問販売』-1
「ああっ…もう…いくうっ…!!」
はるかはびくびくと体を痙攣させ、ベッドへと倒れこんだ。はるかは28才。結婚してからもう4年になる。
(剛ったら最近あたしのこと放ったらかしなんだから…)
はるかはいった直後の気怠い感覚に身を委ねながら心の中で不満を呟いた。剛は最近はるかのことを全く大事にしてくれなくなった。家に帰ってくる時間が遅いため、ここ三か月はセックスもない。はるかは欲求不満のために熱った体を一人で慰めていたのだった。平日の昼間は暇である。家事がすんでしまうと子供もいないはるかにすることはない。剛が帰ってくるのは今日も遅いだろうし、夕食の支度までにはまだ時間がある。はるかはベッドの上でうとうとし始めた。その時…
「ぴんぽーん」
玄関先でインターホンがなる音がした。はるかは驚いて飛び起きると乱れていた服を慌てて直した。
「は、はい。どちらさまですか?」
画面には背広をきた清潔な感じの若い男が立っていた。
「セールスでしたらお断りなんですが…」
「そういわずになんとか…話だけでも聞いて頂けないでしょうか?」
男の必死な様子が気の毒だったのと暇だったのとで、はるかは男を玄関に通した。
「ありがとうございます。お邪魔します」
そういってドアを開けて入ってきた男は、はるかの顔をみて驚いた表情をした。
「あの…何か?」
男があまりにも自分の顔を見つめてきたため、はるかは怪訝な声をだした。
「もしかして…はるか?」
「えっ?」
「おれだよ!智明!覚えてない?」
「ああっ!うそおっ!」
その男ははるかが高校時代に付き合っていた智明だった。大学に進学するとともに連絡が途絶えがちになり自然消滅してしまった元彼だ。
「名字変わってるからわからなかったよ〜。綺麗な奥さんになっちゃって…」
「智明もなんかサラリーマンが板に付いてるって感じだよ。あ、とりあえず上って!」
はるかは智明の前にスリッパを置くとリビングへ通した。
「それでなんのセールスをやってるの?」
ソファに座った智明にお茶を出しながらはるかは尋ねた。
「うーん…とりあえずこれみてもらえるかな?」
智明はそういうとカバンから商品を取り出してテーブルに並べ始めた。
「ちょ…智明これ…!?」
智明がテーブルに並べたのはローターやバイブといったいわゆる大人のおもちゃだった。