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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?5〜難航のプレゼントとこめられたコトノハ〜-6

「…大丈夫…ですかね…?」
口をついて出た言葉。それに対し、やはり湊は微笑んだまま。
「…誠司さん、一つ忘れてませんか?」
そして、少しだけもったいつけてから――

「ちゃんと想いのこもっているプレゼントというのは、誰だって喜ぶ物なんですよ?」

――明瞭な確信をもって、言った。



そういう事情を経て、二人は今まで素通りしていた宝石店へとやってきたのだが。

「…う〜ん…」

湊がふと立ち止まり、サファイアのネックレスとにらめっこを始めてしまったのだ。
「……」
誠司はその側で、彼女からなるべく離れないようにしながら、他のアクセサリーを見て回っている。
その中で見た限りでは、どれも玲が嫌いそうな派手な物ばかりが並んでいる。そして、その値段は――

「……」

分割払いでも自分の生活が苦しくなりそうな額。これではあまり喜んでもらえず無駄遣いに終わる。彼は軽く身震いしながら、それらのアクセサリーから目を逸らした。
そして、再び湊に視線を戻す。と、ちょうどその時、にらめっこをしていた彼女が顔を上げた。
「…そのアクセサリーがどうかしましたか?」
誠司はそのタイミングで、問いかけてみる。すると湊は、誠司の方を振り向いて口を開いた。
「…石言葉を、思い出していました」
「……石言葉…?」
あまり聞き慣れない単語に、誠司は首を傾げた。
「それは、一体…?」
続けられた言葉に対し、湊は特に驚くわけでもなく、いつもの調子で答える。
「花言葉は知ってますよね?」
「あ、はい。知ってます」
「花と同様に、宝石に限りますけど、石にもそれを示す言葉があるんです。それを、石言葉と言います」
説明が終わる。そのすぐ後に、誠司は再び問いかける。
「えっと…どうして、石言葉なんてものを思い出していたんですか?」
そう聞かれた後も、湊の口調と態度は変わらない。
「敢えて喜ばれるか嫌がられるかの境を行くわけですから、少しでも喜んでもらえる材料になればいいかな、って思ったんです」
「…なるほど」
そして納得。頷いた誠司の口から、感嘆と感謝が漏れる。
「ありがとうございます、そんな事まで考えてもらって……それで、思い出せましたか?」
「もちろんです」
そして続いた確認に、湊は絶対の自信をもって言った。その後、彼女は先程までずっと見ていたサファイアのネックレスを指さして、上品な笑み。
「その知り合いが誠司さんに恋をしていたら、とっても喜びそうな言葉です」
その口から発せられたのは、まるで渡す相手が恋人であるかのような前置き。渡す相手が実際恋人である誠司は、思わずどきっとしてしまった。
しかし、そんな動揺は当然毛ほどにも出さない。そのまま、湊が言葉を続けるのを、彼は待った。
そして、数拍の後――

「サファイアの石言葉…」

湊は口を開く。

「それは…」

そして、告げた。

「…慈愛と、誠実です」

蒼の宝石にこめられた、コトノハを。

しばし、誠司は沈黙する。
視線の先には、湊が見つめていたサファイアのネックレス。


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