罪〜Revision〜-2
家族揃っての夕食。1日の出来事をそれぞれに語るひととき。亜紀は和哉に話掛ける。
「どう?初日の感想は」
和哉は笑顔で答えた。
「小学校の友達が6人くらいかな…後、となりの女子と仲良くなったよ」
「ヘェ…誰?」
「はぁふだはん」
「エッ?誰って」
和哉は口いっぱいに頬ばったゴハンを急いで飲み込み、お茶を一気に飲むと、
「んっ…保田…さん」
「和哉って女子に好かれるのかね?」
「さあ?向こうから話し掛けてきたんだ」
「ところで、部活はやるの?」
亜紀の問いかけに和哉は満面の笑みで、
「うん!野球部に入ったよ。やっぱりやってきたスポーツが良いと思って」
「え〜、いいなぁ…」
小さい頃からお互いにスポーツが好きで、亜紀と和哉は揃って地域の野球チームに入っていた。
だが、中学生になり亜紀は野球部へ入れないと分かると、バレーボール部に進んだのだ。
その野球部に弟が入ると聞いた亜紀はうらやましさを覚えた。
「よかったね和哉」
「頑張るよ!将来、姉ちゃんを甲子園に連れてってやるから」
「ウン!楽しみにしとくよ」
夕食後は、お風呂タイムとなり、姉弟はリビングでテレビを見ながらお喋りをしている。
1番は父と決まっていたので、順番を待つ間が夕食後のひとときとなるのだ。
そんな時、亜紀が真面目な顔で和哉に訊いた。
「和哉」
「何?姉ちゃん」
「私さ。明日、朝練があるのよ。だからお風呂、先に入ってもいい?」
和哉は困った顔で、
「エーッ!ボクも明日、7時にグランドに来るよう言われてるんだよなぁ」
和哉は口を尖らせ不満顔を姉に向ける。亜紀は地区大会の予選を2ヶ月後に控えての朝練。和哉は野球部の顧問から、朝練に参加するよう言われての事だった。
「う〜ん…」
亜紀はしばし思案した後、とんでもない結論を口にする。
「じゃあさ、一緒に入ろうか?」
「エッ…?」
和哉は最初、亜紀の言った意味がよく解らなかった。表情からそれを察した亜紀は、
「だからぁ、お互いに譲れない訳でしょう。だったら一緒にお風呂に入れば時間を稼げるじゃない」
ようやく理解した和哉は戸惑った。