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お見合い=出会いの場?
【コメディ 恋愛小説】

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相互理解=不可欠?-4

「……とまぁ、一悶着あったがとりあえず夫婦別室と言うことで落ち着いた」
「あ、改めて思うんだけど、アンタ達って面白いね……プックク」
タマは笑うのを必死に堪えているようだ。
「ま、でも辰也にはまだ早いんじゃない。ほら、アイツあれで結構純情だからさ」
「つまりは照れていると」
「そっ、いきなりアルファベットの最初をすっ飛ばして関係持つなんて、できっこないと思うよ、アタシは」
ふむ。では、どうすれば良いのだろう。相手がなかなか自分に振り向いてくれない時、愛読書の『押し掛け妻は女子高生』(少女漫画)の主人公はいきなり寝室に突入して、上からボタンが二つ三つ外れた寝間着でマウントポジションを取る、という戦術だったが、純情な辰也に仕掛ければ間違いなく拒否され警戒される。下手をすれば婚約破棄………。
「それだけはイヤだッ!!」
「キャッ!?なに、どうしたの瑠璃?」
思わず叫んだ私にタマは驚いたが、そんな事は構わず詰め寄った。
「ど、どうすれば良い!?どうすれば、私は辰也に見てもらえるだろう!?」
「そ、そうは言われてもねぇ。アタシだって、男と付き合った事ないし……」
困惑顔のタマに詰め寄る私。婚約破棄などという事態になったら……。
うぅ、そんなのイヤだ!!
「あれ、那岐に広川。二人して何やってるんだ、深刻そうな顔して」
声をかけられ、私は振り向き、タマが顔をあげた先に太田先生がいた。片手にお弁当の包みがぶら下がっている。
「太田先生……」
「先生……ってそうだ」
突然、タマが頭の上で電球を光らせた。
「瑠璃、先生に相談すればいいじゃない?だって先生、結婚してるし」
そ、そうかなるほど。経験者に聞くのが一番か。
「先生!」
「太田先生、ご相談が!!」
二人して詰め寄った私たちに、先生は困惑顔で告げた。
「……とりあえず、弁当食べさせて」


「なるほどなぁ。同棲の部分は聞かなかった事にして、それはまぁ二人次第。アタシの出る幕じゃないね」
美味しそうな卵焼きを口に運びながら、先生はそう言った。う〜む。そ、そうは言われても。
「先生は、どうだったんですか?」
「何が?」
目を輝かせるタマの質問に先生は要領を得ない。
「旦那さんと、どういう風に結婚したんですか?」
興味津々だ。
「どういう風にも何もフツーだ。フツー」
「フツー……ですか」
「あぁ、高校から付き合い出して、大学は別だったけど危機らしいのも無かったしなぁ。そのまま卒業したら結婚した」
「先生、美人だからやっぱりコクられたんですか!?」
タマの目は相変わらず輝いている。こういう話には一目散に飛びつくのか。彼女の事が一つわかった。
「いや、まぁアタシから告白したんだが……」
む、少し先生の目が泳いでいる。何か気まずい事でもあるのだろうか。
「へぇ〜!へぇ〜!!どんな風にですかっ!?」
「いや、まぁそれは……秘密だ。秘密」
え〜、と落胆するタマを後目に、私は質問した。
「で、今は旦那様と一緒に暮らしてらっしゃるんですね」
「いや、今な、単身赴任してんだよね、旦那。遠いから、なかなか帰って来れなくて」
「へぇ〜。北海道とか?」
「沖縄など、ですか」
思い思いの遠いところを口に出した。しかし、返ってきた答えは予想外だった。
「んにゃ、メキシコ」
「「メキシコっ!?」」
「そ、メキシコ」
驚いてハモった私たちを気にもせず、先生は炊き込み御飯を口に運んだ。
「メキシコ、地球の反対側じゃないですか?」
「そんなとこで旦那さん、何してるんですか?」
「ん〜、マヤだかインカだかの遺跡調査とかでな、地面掘ってんだろうな」
へぇ〜、と感心してるタマとは逆に、私は少し腑に落ちないものを感じた。


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