投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

お見合い=出会いの場?
【コメディ 恋愛小説】

お見合い=出会いの場?の最初へ お見合い=出会いの場? 10 お見合い=出会いの場? 12 お見合い=出会いの場?の最後へ

相互理解=不可欠?-3

数分後、ダイニングにはほのかな紅茶のいい香りが漂っていた。テーブルの上には紅茶とお茶菓子としてのケーキ。
「か…母さん、これは……!?」
辰也がケーキを凝視している。何の変哲もないチーズケーキだが。
「モロゾフのチーズケーキよ」
「おぉ!!」
そう聞いた義父さんも目を輝かした。
「うちの男共は甘いの嫌いなクセして、チーズケーキにだけは目がないの」
こっそり義母さんが耳打ちしてくれた。それは良い事を聞いた。交渉材料その1ゲット。
「辰也、チーズケーキが好きなのか」
「ん、まぁな」
う、口の周りに食べかすが……かわいいぞ、辰也。
「では、辰也。君は私の同居に賛成すべきだ」
「いや、何でそうなんの?」
「私はこれでも花嫁修行を怠った事はない。自分で言うのもなんだが炊事洗濯掃除、どれも完璧だ」
ほぅ、と三人揃って頷く。やはり夫婦で親子だな。息もピッタリだった。
「加えて、私はお菓子作りも趣味の一つだ。言いたいことがわかるか?」
「つまり、同居を許したらチーズケーキを作ってやると」
「その通りだ。さすがは私の夫、もはやツーカーの領域だな」
「そこまで話が進めばわかるだろ、普通」
またそうやって、辰也は恥ずかしがり屋だな。照れずとも良いのに。
「さぁ、どうする。今なら君の三食は私が栄養バランスを完璧にした手作り料理になり、君の服はおろか下着すらも喜んで洗い、オマケに背中も流すぞ。いや、むしろ流させてくれ!」
「る、瑠璃。目が怖い。ついでに息も荒いからスッゲー身の危険を感じるんだけど」
「良いじゃない!洗濯してもらえれば、お母さんの負担減るし!」
「良いじゃないか!父さんも背中流してもらいたいぞ!!」「それが本音か」

辰也が呟く横で、義父さんの一言を聞いた義母さんの目が光った。そこはかとなく赤かった気がしないでもないが、そこはやはり義理とはいえ円満な親子関係を築く為に突っ込まないでおこう。
「あなた……」
「ま、待てっ!これは純粋に男親として憧れる事だ!!不純な動機じゃないぞ!!」
「そうですか。じゃあ、今日は私が流してあげるわ。ウフフ……」
笑みが怖かったのは気のせいだと思う。次の日の義父さんがやたらに背中を痛そうにしていたことも……。
何はともあれ、私は交渉カードを切った。さぁ、どうする辰也。
「そんなに俺と住みたいのかよ」
「住みたいな。是非とも」
私の真剣な眼差しが辰也を射抜く。
「……わかったよ」
「え……?」
「わかったって言ったんだ。そんなに住みたいんなら、勝手にしろ」
そう言って、辰也は紅茶を一息に飲んだ。多分、照れ隠しだ。
「辰也……」
「ただし、一般常識には従ってもらうからな」
「わかった。では、まず私の部屋だが、辰也と同じと言うことで」
「今俺が言った事、もっぺん言ってみろ!!」
何を辰也はそんなに怒っているのだろう?至極当然な一般常識を口にしただけなのに。
「妻が夫と同じ部屋で夜を共にするのは普通だろう。新婚なら尚更だ」
「そうね!!なんならダブルベッド、買っちゃいましょうか、お父さんのへそくりで」
「か、母さん!せめて折半にしてくれ」
「ちょっと黙ってろ、そこ」
賛同してくれた両親を苛烈な言動で辰也は黙らせた。
「何回も言うが、まだ結婚してねぇだろが!!」
「しかし、もう婚約まで済ませたのだ。婚前交渉ぐらい良いではないか」
「あ、アホかぁ!!!そんな事軽はずみに言うんじゃねぇ!!!!」
「軽はずみではない!私はいつでも覚悟は出来ている!!」


お見合い=出会いの場?の最初へ お見合い=出会いの場? 10 お見合い=出会いの場? 12 お見合い=出会いの場?の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前