sweet chocolate-6
「フッ…」
フッ…?
誰か…今、笑ったよな?しかも鼻で。
オレが顔を上げると、そこにはオレを見下ろす朱李の顔。
「緋色の作ったケーキは、お前に食って欲しくなかったんだよ。お前に食われるくらいなら、俺のズボンに食われたかったんだな」
笑いを堪え、あえて無表情をつくって、そう言い放つ朱李。
「よしよし、いい子だ」なんてチョコケーキに言ってるコイツが――
本気で――
ムカツク。
「てめぇーっっ!!」
「きゃーっっ やめて紅っっ!!」
――――――――…
―――――…
一年で一番嬉しい、この日。
一年で一番楽しみな、この日。
オレは朱李のズボンの上の、ケーキを食べた。
**sweet chocolate**
END