sweet chocolate-3
あぁ…今日は…アレだ。
『バレンタインデー』
今年も緋色から手作りチョコもらえるかなー…
緋色のチョコ…旨いんだよな…
1人妄想が膨らみ、ニヤけそうになる。
「朱李さんっっ」
女たちの声にふと我に返ると、差し出されたたくさんのチョコ。
「俺、チョコ食わねーから」
冷たく言うと、女たちを無視してさっさと教室に入る。
正確には…『俺、緋色のくれる、緋色の作ったチョコはしか食わねーから』…なんだけど。
教室に入る瞬間、チラッと後ろを振り返ると、同じく女に囲まれた紅が、「オレ、チョコとか苦手なんだよねー。ごめんねー」と、ヘラヘラしながら拒否してる。
嘘つけ。
甘いもの大好きなクセに。
…こいつも俺と同じってコトか…
*2月14日 PM12:09 コウ*
昼前の最後の授業。
チャイムが鳴るまであと10秒……5…4…3…2…1…
[キーンコーンカーンコーン……]
「いよっしゃーっっ!!」
机の上でスタンバってた弁当片手に教室を飛び出した。
「おいっっ まだ終わってないぞーっ!」
って、ハゲじいの怒鳴り声も気にならねー。
オレは猛ダッシュで2組の教室のドアを開ける。
「緋色ー。メシ食おーぜー」
「…仁科…またお前か…」
弁当を掲げ、デカイ声で叫ぶオレを、黒板の前で教師が呆れたように溜め息をついている。
そんな注目の的のオレに、いつもの様に緋色は顔を真っ赤にしてる。
かーわいーなー…
一生懸命、机の中に教科書をしまう緋色を待ちきれずに、廊下で「はやくー」って呼ぶと、「まってー」って言う緋色。
いつものやりとりが嬉しくて。緋色が可愛くて。
もう1回言おうとした時。