第3会議室…2-2
「こ…困ります、部長」
あたしは、そう言うけど。
──こんなの反則だ。
あたしは、まだ部長の笑顔をどこかで信じてるから…
「…ぶ、部長…?」
この間のように強引にではなく、抱きしめられたまま、耳元にキスをされる。
…この間はあたしを無理矢理犯したくせに。
あたしの気持ちなんか知らないくせに。
「こ、困ります、こんなところで…」
声が震える。
抵抗なんて本気でできるわけがない。
でも部長が怖いからでも、クビになるからでもない。
だって…部長の笑顔が、部長が好きだから…
「この間のこと考えてたんだろう。
また無理矢理犯されるんじゃないかって気が気で仕方なかったんだろ?」
耳元でそう囁くから、あたしの体は余計に反応する。
やっぱり…わかってるんじゃない。
「お前は頭がいいくせに何でわからないんだ。
どう考えたって、ミスの大きさと俺がやったこと、どっちがとがめられるかって言ったら──」
え…?
「…?!奥っだめ…」
いきなり舌が耳の中まで入り込んできて。
こんなことされたら、何も考えられなくなる。
「やめてっ…部長…」
耳ばかりを責められ、聴覚がおかしくなりそうなほどに、部長の舌が這う音しか聞こえない。
あたしは部長の体にもたれかかるような格好になっていた。
「ちか…ら、入ん…ない…」
そう思わず言葉を漏らしてしまうほどに。
部長は抱きしめた手を滑らせて、シャツのボタンを素早く外すと、その隙間から右手を入れてくる。
「抵抗するなら抵抗しろ。
こんな憎い相手に犯されたくないなら」
憎い、なんて。
──いつあたしが言いましたか?
「ん…やめて下さい…」
部長の体にもたれかかりながら言うあたしのその言葉に説得力のかけらすらない。
こんなに優しくしないで。
やめてよ…
「ぶ…ちょう…んっ…」
下着の中まで右手が入り込んで、あたしの胸のかたくなった黒ずんだ部分にまで触れる。
「困りますっ…や…」
もっとして、もっと触ってって心のどこかで──
体中で部長を感じたいって。
あたしは性欲処理だとわかってるけど。
あたしのミスと、あたしが責任をとるという名目で部長がしたこと。
どちらがとがめられるかなんて。
そんなのわかってるに決まってる──
だけど…
もう、ここまで来たらあなたから逃れられない。