reality ability‐第6話‐集められた“過去(しんじつ)”‐-3
「‥‥こんな世界は我々が壊す!司義莉!お前には解るはずがない!冥界神の辛さが!?」
と、深神が腰にあった剣を抜き構えて言った。その剣や雰囲気からは殺気はもちろんだが、寂しさや悲しみといった感情も混ざっていた。
「‥‥‥」
司義莉はチラッと後ろの二人を見る。さっきと同じ眼差しで。二人はその視線にビクッとする。梛はその出来事にただ見る事しか出来ない。
「‥‥確かに俺は冥界神の辛さなんて知らない。が、この世界を壊す事には反対だな。後ろにいる“人間”も守りきる。」
司義莉の目は決意の瞳を持つ。すると、司義莉の身体に変化が起きる。髪の色が金色へと、瞳の色が赤に変わる。
「覚醒!?‥そこまでして何の意味があるんだ!?たかが“人間”に!」
深神は司義莉を睨み付ける。少し長めの長剣の先端が司義莉を狙っていた。
「‥‥」
司義莉は焦りの様子を隠せなかった。それは徐々に近づき始める深神と手下たちに絶望的なのかも知れない。当然、梛にも言える事だ。
〈ビュン!!‥‥〉
が、一本の弓矢が神速の速さで駆け抜けた!その弓矢は手下の腹に刺さる。もちろん、その手下は霧と化し消えていく。
『!!!』
突発的な出来事は驚愕、混乱を招いた。騒然とする最中、声が辺りに響いた。
「‥‥風よ。我が意に従え。切り裂け‥‥」
吹きあれる風が敵を切っていく。次々と霧を化し風と共に去っていく。外にいた敵にも吹きあれ、切り裂かれいった。
「誰だ!?」
深神は振り返る。これまでの怒りや邪魔された事で、更に荒々しくなった。
「‥‥悪いが、この“運命”は変えるわけにはいかないんでな‥‥」
謎の人物だ。いつもと違って、姿がはっきりしていた。‥‥その姿は皇希に似ていた。まるで、数年後の皇希だった。
身長が少し伸び、少年の雰囲気から青年の雰囲気になった。喉仏がはっきりと見えているので、声変わりは終わっているらしい。あんまり変わってないが‥‥。
優しさと厳しさが混ざったような表情であった。どうやら、その表情が普通らしい。そして、片手には弓。その弓が刹那の時で片手剣に変わる。
『!!!』
その剣の形まで変わっていた。一般的な形の十字架のような形なのだが、剣先が細くなっていた。その出来事に驚きを隠せない一同。
皇希らしき人物は説明的な口調で喋る。
「‥‥極真剣(きょくしんけん)。この“世界”の揺るぎなき“モノ”の一つだ。来い、一瞬で終わらす‥‥」
未来?の皇希は構えた。もちろん、自然体で極真剣を右手で持ち、剣先を下に向けた構えで、だ。