美しき奇人の恋愛前線-2
――やっぱり、駄目なの…ここ最近放課後いつも一緒にいたのに…名前だって覚えてくれてたのに……やばい、泣きそう
うつむいて顔を隠す。本当に冬片が空を見ててくれて助かった。
「んーまぁ、良いよ」
「えっ!?」
彼が振り向き、私を見る。
「だから良いって。…なんか問題児君とは長い付き合いになりそうだし」
「そう…ですか」
私の顔が赤く染まるのを感じる。
「…今日はここまでにします。では」
早口でそう言うと、秋は鞄をもつと、出入り口を突っ込むように走り抜ける。
私の心の中は、嬉しさで一杯だった。
少女が勢いよく出ていったドアを見つつ呟く。
「だからなんで終わりを自分で決めるんだ…」
ため息をつく。
そこで気付く。少女にしては珍しく片付けをしていない紙や筆記用具。
仕方ない、と思い、片付けをする。
少女が書いていたであろう紙を見て呟く。
「…本当に長い付き合いになりそうだな」
それは何一つ書いていない、真っ白な紙だった。