飃の啼く…第21章(後編)-18
「あぁ…」
のどの奥から、深いため息が漏れる。味わったことのない疼きが南風の身体の内側を支配した。青嵐の手は腰のなだらかな曲線をなぞり、徐々に下へ降りてゆく。わずかに残った衣服も全て取り去られたけれど、気恥ずかしさを感じる段階は当に過ぎた。
「ああ…青嵐…!」
青嵐の指が、彼女の中に入ってくるのを感じて南風は一瞬身をこわばらせた。
「怖がらなくていい…。」
南風はその言葉を信じた。腰を浮かせたまま、青嵐の肩に震える手を置いた。長い指が、彼女の中で動くたびに小さな痺れが起こる。
「あ…何か変です…私、ぁ…っ」
「変じゃない。」
小さな喘ぎ声を漏らした南風の頭を撫でて、更に激しく指を動かした。彼女の準備が整った音が部屋中に響き渡るほど。
「ぁ…ああっ…!」
肩をすくめた南風の手は、青嵐の髪をきゅう、と握っていた。青嵐は指を抜いて、ほとんど涙目で呆然と青嵐を見つめる南風に微笑みかけた。
「今のはなんです…?私…」
「今のは」
青嵐は南風を優しくソファに寝かせた。
「序章だ。」
そして、彼女が自信も気づかぬまに目を閉じたのを見ながら、ゆっくりと一つになった。
「…く…。」
南風は、声にならない声で小さな悲鳴を上げた。ソファの淵をつかんだ手には力がこめられて、それがいっそう彼を締め付けていた。
「痛…怖い、です…青嵐…」
うっすらと涙を浮かべて、南風は目を開けた。初めて味わう破瓜の痛みをなるべく和らげるために慎重に奥に進みながら、青嵐は彼女に身体を重ねた。絹のような肌は熱く、怯えてでも居るように震えて、鳥肌が立っていた。
「しーっ」
落ち着かせるように、青嵐は彼女を優しく抱いた。
「大丈夫だ…もう痛いことなんかねぇから。」
こくりとうなずく南風は、初めて感じた痛みと、異物感におののきながらも、彼と一つになった喜びを感じてもいた。南風が落ち着いたのを確認して、再びゆっくりと動き始める。
「っ…ぁ、あ…!」
次第に、身体の中心からあふれるような快感が流れてくる。それはどんどん強力になり、ソファの淵を握る手にも力が入らなくなってきた。ずん、という重い動きが、彼女の子宮の奥まで届く。彼が動くたびに頭の中で閃光がひらめいて南風には自分の声すら聞こえなかった。
「ぁ、青嵐…なにか…あぁ…」
本能が言葉を邪魔する。焦点の合わない目で必死に青嵐を探そうとするその姿は、たまらなく淫らで、青嵐の衝動を激しく揺さぶった。