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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第21章(後編)-19

「南風……っ!」

「っぁ――!」



何物にも変えがたい満足感が身体を包んでいた。まるで使い慣れた布団のような心地よさで。

「噂には聞いていましたが…。」

ようやく南風が口にした。まだ起き上がるだけの気力は戻っていないらしく、ソファにぐったりともたれて青嵐の持ってきたグラスを両手でぎゅっと握り締めていた。

「想像以上だった?」

「ええ…いいえ、もちろん想像なんてしていませんでしたけど…。」

赤い顔でグラスの中身に口をつけた。

「良かったか?」

青嵐が隣に腰を下ろして、ブランケット一枚を羽織っただけの、南風の裸の肩を抱き寄せた。南風は一瞬口ごもって、なるべく自分の羞恥心を刺激しない言い方を探そうと試みたけれど、徒労に終わった。

「ええ…とても…。」

いちいち赤くなる彼女に、いっそうの愛情を感じながら、青嵐は彼女の耳元に口を寄せた。

「お望みなら、毎晩だって付き合うぜ。」

南風はむせて、持っていたグラスの中身を思わずこぼしてしまった。

「あ…ごめんなさ…」

見上げた青嵐は、意地の悪い顔で笑いながら、

「おやおや…奥様には酒をひっかけたりひっかぶる趣味があるとは…」

「そんなわけじゃ…!」

言いかけた南風の胸元にこぼれた水割りを、青嵐が嘗めて会話は再び途切れた。

「あ、ぅ…もう、青嵐!」

怒ったような妻の声に、笑いながら顔をおこす。

「…悪い人。」

「それがいいんだろ?」



ジュークボックスは、幸せに笑いあう二人に、ささやかな贈り物をした。


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