恋は盲目……恐怖の大魔王…………No.5-12
それだけは止めなければならない!!
「いや、偶々だよ。夕食のお礼を言って顔を上げたら偶然にも唇が重なったというだけで…」
「そんなに都合良くいくものかしら……ねぇ?」
蓮香姉さんの微笑みの裏に隠れた冷気が恐ろしい
「今ここで相手の名前を言うのと、後で新聞におくやみが載るのどちらか良い方を選びなさい。」サラリと危ないことを言う百合香姉さん
心なしか長い髪の先がヘビに見えなくもないが……
「その二択ですか……。百合香姉さん、蓮香姉さん、何でもするからそれだけは許して下さい。」
土下座まではしないけれども、最早土下座外交である。弱者は理不尽な要求ものまなければならないのである。
嗚呼無情………
「何でもするんだ…?そうね、なら許してあげても良いわね。蓮香も頷いてることだし……何してもらうかはじっくり考えておくわ。いい?今言ったこと、ちゃんと覚えておきなさいよ?」
言い放つやきびすを返して部屋を出て行く2人の姉上。
それと入れ替わりに入ってくる橘。
「若、ご無事でしたか…?」
普通の家庭でこんな会話は有り得るのだろうか?
ただ普通に姉上と話してただけで安否を気遣われるなんて……
「あぁ、今回は無事だ。次は危ういかもな……それにしても参ったな…」
「お嬢様方にもお控えしていただくように再三御注意を申し上げてはいるのですが………何分………」
突然黙る橘
「何分?何分なんだ?正直に言ってみろ。姉上には秘密にするから。」
ややためらいつつも口を開く橘
「……何分、お嬢様方は人外の者、言わば魔王とでも言いましょうか、人間である私めが何を申し上げようと無駄というものでして……」
本当に正直に言ったよ……
「そうだな……最早何も言うな。私は疲れたからもう寝ることにする。橘も今日は休め。」
「はい、では失礼します」
橘が部屋を出て行くと同時に出る、深く長いため息……
家にいる限り安息はないようだ。
明日も早めに学校に行こうかな……
誠が頭を悩ませている頃、白鳥家では……