いのち短し、××せよ少女!-9
「んッ! そ、んなにしちゃ……んッ!」
秘所から零れた愛液が太腿に流れるのを感じ、あたしは腿を摺り寄せた。
すると北村が、ぐっとあたしの足を掴んで左右に開く。
「はあッ……はあッ……」
「濡れすぎじゃないのか」
言って、やっとあたしのそこに刺激を与える。
待ちに待ったその瞬間に、あたしは達する。
でもそれで手を休めないのが、この男の意地悪なところで。
「あッ、あうッ……ひッ、あッ、ああッ!」
再び軽くイッて、あたしはようやく地獄のような焦らしから解放される。
北村はあたしの手を解くと、自分は椅子に腰かけた。
「ん……せんせ……」
北村があたしを手招きする。
あたしは北村のスラックスに手をかけた。
ファスナーを下ろし、下着の上から北村のものを擦る。
薄布越しに熱が伝わって、あたしは北村の顔を見やった。
早く舐めろ――そう言いたそうな顔。
でも、北村もいつもよりずっと余裕がなさそうだった。
そり勃ったものの先端をゆっくりと舐め、唾を絡めた右手で竿を扱く。
「う……ん」
やがて口内に唾液以外の液体の味が混じり出す。
北村の顔を見るべくちらりと視線だけ上にやると、目頭を押さえて喉を仰け反らせる北村の姿。
そんな姿を見たのは初めてで、あたしは嬉しくなる。
ほくそ笑むと、じゅると音を立てて啜り、舌の動きを早めた。
「もう、いい」
北村があたしの頭を掴んで、一物をあたしの口内から引き抜いた。
唾液が糸を引き、いやらしくあたしの口と北村のものとを結ぶ。
「手、つけ」
言って、さっきあたしを縛り付けていた本棚を指差す。
あたしは促される通り、手をついて腰を突き出した形で北村を待つ。
「はぁ……あ、あぁんッ!」
熱いものがあたしの中を満たした。
「んッ、いいッ……! 気持ちよく……てッ」
一定のリズムに突き上げられ、制御不能なあたしの声も同じ感覚で上ずって行った。
「も……イクか、らああ――ッ!」
絶頂、脱力。
身体に残る快楽の余韻と、気だるさ。
本当なら眠っていたいところだけれど、時は既に七時半を過ぎていて。
あたしはセーラー服のタイを結びながら、躊躇いがちに北村に訊いてみた。
「先生はさ……奥さんいるじゃない」
「ああ」
「あたしとこういうことして、いいの?」
「ああ」
飄々と言う。あたしは思わず面食らった。
「申し訳ないとか、思わない?」
「少しは思ってるさ」
「じゃあなんで」
北村はきちっと締めたネクタイをピンで留め、椅子を元に戻していた。
椅子にかけた上着を手に取りながら、あたしの問いに考える様子なく、あっさりと答える。
「気持ちいいことがすぐ目の前にあるのにそれを逃すのは、馬鹿なやつのすることだ。それに」
北村は、首を傾げたあたしの様子にふっと笑い、上着を羽織って言う。
「『明日の月日はないものを』」
「?」
「俺もお前もすぐに枯れるさ。今のうちに楽しめるだけ楽しんでおくのが利口なやり方じゃないのか?」
そう言って北村が口元に微笑を浮かべた。