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「巡る季節に」
【悲恋 恋愛小説】

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「完全なる私信」-1

お久しぶりです。
お元気ですか?と言うのも変な話ですね。
僕の方は、あの後少しして右目が突然見えなくなり、大学病院に通い、それが治ったと思ったら今度は網膜剥離になり先週入院し手術を受けてきました。
退院まではまだしばらくかかりそうです。

さて、今回久しぶりにメールをしたのは進路が決まった報告をするためです。
入院直前に受験し、先日、専門学校の合格通知を手にしました。

何と看護学校です。

春からは再び学生に逆戻りです。


看護士は需要の高い仕事なので一生食いっぱぐれる事はない(笑)と思いますし、折角受かったんだから3年間頑張って国家資格を取りたいとは思っていますが今になってきて不安な気持ちも覚えています。

僕に、向いてるのだろうか。
僕は、頑張れるのだろうか。
と。

自分で言うのも何ですが、明るいし責任感もありますし(ありましたよね?)、その点では向いていると思います。
ただ、大ざっぱであるが故に些細なミスを犯してしまったりと言う部分があるのも否定できないわけで。
貴女と現場で働いていた時以上に、些細なミスが、文字通り命取りになってしまう職業なわけでして…。

そして、二つ目の不安。
今まで自分は責任感が強い故に手を抜けない頑張り屋な面がありました。
しかし、営業時代に頑張っても頑張っても何にもならないという砂を噛むような絶望感を味わって、そのまま頑張る気持ちが折れたきり立ち直れてないような気がするのです。
それとも、新しい世界に踏み出す不安がそう感じさせているのでしょうか。

こんな時、貴女ならどんな返信をくれるのでしょうか。
きっと、「報告ありがとう。そして、進路決定おめでとう」から始まって、それから、それからきっと…。



スイマセン。
思いつきませんでした(^_^;)
励ましてくれるような気はしますが、いったいどんな言葉を掛けてくれるかとなると全く思いつけません。
貴女ならいったい何と言うのでしょう。


視力の回復や時の経過と共に貴女への気持ちの整理もつくかと思っていましたが、僕はまだあのとき貴女を見失った場所で立ちすくんでいるのかもしれません。

昨日の雪が嘘のように窓の外は青く光っています。
貴女も、こうして病室の窓から空を眺めることがあったのでしょうか。

看護士を目指そうと思ったきっかけは貴女だったというのは嘘ではなく…。
だからといって、入院していた貴女の役に立てなかったのが悔しくてとか、貴女のように病気で苦しんでいる人の力になりたくて…などという気持ちからでもないわけでして。


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