投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

甘辛ニーズの最初へ 甘辛ニーズ 58 甘辛ニーズ 60 甘辛ニーズの最後へ

辛殻破片『甘辛のエクリチュール』-8

「…っとと、すみません。 業務時間は休日以外いつでもと記されていますが、既に専属をして…ごほん。 正しくは毎週" 日曜日 "が業務時間なので、その時に連絡をお願いします」
「…………」
「ここからだと…電車を一駅分使って、十分くらいですね。 是非いらして下さい、菓子と紅茶を用意してお待ちしております」
「…ありがとうございます!」

 少年はこの短時間でどれだけ成長できたか、自分にしかわからないだろう。

 しかし、誰からの目を通して見ても、少年は確実に" 立派 "になっているはずだ。

 まだまだ輝くであろう少年の後ろ姿は、始まりの小さな後光が差していた。




「さてさて……」
 ふじやくんが家の中に入り、ドアを閉めるところを見届けると、どっと冷や汗が吹き出してきた。
「どうしましょうか……」
 「買い物に行く」と雪柳宅を離れて何十分経過したことか。
 もう由紀奈ちゃんは大学に行ってるかもしれない、となると、将太さんも起き出した可能性が高い。

 帰宅してから料理なんて間に合わない、すぐに作れる訳じゃないんだから。
 本当にどうしましょう…。


 ───と嘆いていると、更に最悪の事態が起きていることに気付く。
「あっ!!」


 買ったばかりの食材が入ってるビニール袋を、ふじやくんと話していたあの暗い場所に置きっぱなしだった…!

 人があまり通らない場所とは言え、本当にそれだけは危ない。
 すぐさま取りに行かなくては。




 ───ビニール袋は荒らされることも取られることもなく、ちゃんとそこに存在していた。

 だが…『ひとつ』、さっきの風景と別に違うものがある。

 学生服を着た、ただの知り合い…じゃない。

 透くんだ。


甘辛ニーズの最初へ 甘辛ニーズ 58 甘辛ニーズ 60 甘辛ニーズの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前