第3会議室…1-2
「失礼します」
「ああ…星野。
すまないが鍵を閉めてくれないか」
「え?…はい。閉めました」
部長は会議室の椅子に座り、頬杖をついている。
いつも見せる顔とは違う…何だか怖い顔をしているような。
仕事が終わった後だから疲れているのかな、と思いながらも部長のところに歩み寄る。
…部長は口を開かない。
あたしは何が何だかわからないまま、バッグを机の上に置き、コートを脱いだ。
「あ…あの…?」
あたしが口を開くと、それが合図だったかのように──
部長がバン!と机を叩き、立ち上がったので、あたしはビクッ!と震えた。
「ミスだ。
タカダ・ファクトリーに振り込む額の550万が、1桁間違って5500万になってたんだ…
タカダ・ファクトリー側が気づいて、教えてくれた。
これはお前がチェックした振り込み明細だな」
「は…はい…」
あたしの顔から血の気が引くのがわかった…
1桁間違ってた…?!
嘘…あたし…
「我が社の損失になるところだった。
向こうが気づいてくれたからいいものの…
タカダ・ファクトリーのミスだとしても、仰ってくれるとも、ましてや気づいてくれるとも限らない。
お前…重大なミスだとわかってるな?」
「…もちろんです」
涙が頬を伝う。
ミスをしたことで部長に嫌われたと思ったから…
「まあ…社長には黙っておく。
だが、多少言うことは聞いてもらわないとな」
「な、何でもしますっ…!!」
「そうか…なら…」
ニヤリと部長が笑う…今まで見たことのない、冷たい笑顔…
「ここの机に座って脚開いて…オナニーでもしてもらおうか…?」
「えっ…」
「何でもするんだろ。
…ストッキング脱げよ、ほら…早く」
「できませ…」
首を横に振る。
涙が溢れて、部長の顔がぼやける。
「俺らの仕事を円滑にするために見えないところで働くのが秘書の仕事だろう。
お前はそれができなかったんだ。
…責任をとれ」
「わ…わかりました」
あたしはパンプスを脱ぎ、スカートをゆっくりとめくる。
もう、何が何だかわからない。
…部長の視線が、痛いほど伝わって。
あたしはストッキングを、震える手でおろしていった。
「机に座れ」
あたしがストッキングを脱ぎ終わると、部長は無表情で言い放つ。
あたしは戸惑いながら、真っ白な机の上に腰をかけた。
ひんやりとした机の感触が伝わる。