異世界の放浪者 第一話〜ニュートリアル〜-2
『…?』
段々とはっきりしてゆく意識。さっきは暗闇に包まれる夢を見た。んで今は自分のベットの上にいるはず。そう頭の中を微妙に整理しゆっくりと目を開ける。
「あっ!おはよう♪」
そう言って俺に微笑みかける女性が目に入る。
「夢?」
俺は一言そう呟く。それを聞いた彼女は俺のほっぺをこれでもかと強く握って持ち上げた。
「あぶぉー…いぶぁいべぶ」
あのー…痛いですって言ったように思ってくれたら幸いだ。
「これが夢かしら?」
そう言って掴んでいた俺のほっぺを放す。俺は掴まれたほっぺをさすりながら声のする張本人に目を向ける。
「夢じゃない…」
「よろしい!」
彼女は満足気にそう言う。じゃ一体これはどうゆう事だ。周りには彼女のほかに粘土で押し固められたようなかまど。木でできた机やイスなどの家具類。どうやらとある家にいるらしい。その家が何処なのかわかるはずもない。
彼女はイスに座り心がアタフタしている俺に問い掛ける。
「君はなんて名前なのかな?」
問い掛けるその口調からわかるように彼女は見た目年上とゆうような感じだ。よく見ると見慣れぬ格好をしていた。
「天月…登…です」
「ほう…聞き慣れない名前だね」
彼女はそう言ってコーヒーの入ったマグカップを手にして一口くちにする。
「んで?どっから来たの?」「わかんないです…」
「へ?」
彼女は首を傾げた。
「君…記憶飛んでる?」
「それだったら名前でないと思いますけど…」
彼女に一言ツッコミを入れる。
「俺…質問されてますけどしたいのはこっちです!ここが何処で何なのか!あなたの格好なんて見慣れてないし…それにさっきまで自分の部屋にいたのに…」
俺はベットの上で頭を抱え小さくなる。
「記憶はあるみたいだね…」
彼女はポカンとした表情で俺に言う。彼女はマグカップを机の上に置き、机に置かれた一本の棒を手にする。
「ランヴィズ」
手にした棒を横に軽く振ってその言葉をくちにした。すると俺の目の前に見慣れたものが落ちてくる。
「俺のバック!」
俺は自分のバックを抱え込んだ。
「これは決定かな…」
彼女の言葉に首を傾げる俺。
「ようこそ…ニュートリアルへ」
彼女はそう言って俺に微笑みかけて来た。