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君のそばにいてあげる
【学園物 恋愛小説】

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君のそばにいてあげる(一日目)-1

ある日曜日の早朝。
俺の不幸はここから始まった。
「爺ちゃん! 何やってるんだよっ! 朝っぱらからうるせーよ!」
俺、『美作祐二』は自宅の離れにある祖父『松戸幸蔵』の研究室から聞こえた爆音と振動に飛び起き、駆け足で自分の部屋から爺さんの研究室にがなり込んだ。
思えばこれが間違いの始まりだった……。

そして、俺が研究室のドアを開けた瞬間、俺の頭に液体の入ったフラスコと試験管が落ちてくる。
「避けよう!」と思う間もなく、フラスコと試験管は俺の頭で粉砕した。
「ちっくしょ! なんなんだよ一体!?」
「おおっ、祐二か。スマンな。なぁに、いつもの事じゃ……!?」
いつもの如くまるで反省の色もない爺さんの顔が一転して驚きに変わる。
「なんだよコレ? うっわー、くっせーなこの薬品」
「祐二……お前、身体はなんともないのか?」
「なんともって……? ん? なんか視点が低くなった気がって……うわああああっ!?」
よくよく見ると俺の手足が縮んでるじゃないかっ!?
「爺さんっ! これは一体なんなんだよっ!?」
「……ふむ、どうやらお前の身体は幼児退行してしまったみたいじゃな」
「じゃな、じゃねーよっ! 明日、学校があるってのにどーすんだよコレ!!」
俺はぶかぶかのパジャマを引っ張り縮んでしまった俺の身体を嘆くように見た。「中和剤とかねーの?」
「ないっ! 従って、お前さんは暫くこのままじゃ。しかし、それでは生活に支障が出るであろう。ちと、待ってなさい」
そう言うと爺さんは懐から携帯を取り出すと電話をかけ始める。
「おう、千歳か。ちょいと祐二が面倒なことになってな。ちょいと来てくれるか」
どうやら爺さんはうちに電話をしてるみたいだ。
因みに、『千歳』とは俺の母さんの名前で、爺さんには実の娘である。
暫くすると、研究室に来た母さんは小さくなった俺を見て、驚きながらも嬉しそうな顔をした。
「まあ、今回はどんな事に巻き込まれたのかと思ったら、祐ちゃんったら可愛くなっちゃってぇ」
嬉しそうだった……。
そこには、とても嬉しそうな顔をした母さんが俺を抱きしめ頭を撫でる姿がそこにあった。
「で、千歳や。このままでは祐二が明日学校に行けないので服をなんとかしてもらえんか」
爺さんがそう言うと、母さんは嬉しそうに鼻歌などを歌いながら俺の手を引き自宅へ戻るのだった。

そして翌日……。
俺の身体は小学生低学年程度の身体のまま学校に向かうことになった。
制服などは昨日のうちに母さんが今の体格に併せて作ってくれた。
まったく、なんで俺がこんな目に……。
母さん曰く、どうやら俺は被害者体質らしい。
まあ、確かに思い当たる事は山程ある。
しかも、原因のほとんどが爺さん絡みだった。
盛大な溜息を吐きながら、俺は自分が通う『宮之阪学院』の校門を抜け教室に向かおうとした。
正直、視点の高さが急に今までの半分になったのは違和感がありまくりだ。
そして、俺は昇降口の下駄箱で最初の難関に出会った。
俺の上履きが入っているとこまで手が届かないのだ。
ジャンプをしながら何とか上履きを取ろうとするがいまいち手が届かない。
只でさえこの身体で注目を集めているのに必死に上履きを取ろうとしている俺の行動は更に注目を集めた。俺の後ろでは、他の生徒達の笑い声や「可愛い」などの声が聞こえてくる。
お前ら、見てないで助けてくれてもいいだろっ!
「あら、どうしたの?」
下駄箱を前に途方に暮れる俺に聞き慣れた声が聞こえてくる。
俺は振り返り、声の主を見ると見慣れた女の子がそこにいた。


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