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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?4〜順調で幸せな一日と難問の前兆?〜-2

「…哲也。そっちの仕事はどうだ?」
誠司はその様子を見ながら、とりあえず問いかけた。すると、哲也はディスプレイを凝視したまま、「何とかなりそうです」と返してくる。
「後は……もう少し中身を詰めるだけですから」
「そうか。終わったら言ってくれ。その中身を確認するから」
「はいっ、わかりました」
まるで「期待していてください」とでも言っているかのような返事。誠司は密かに苦笑しながら、自分のパソコンと向き合った。

(……そろそろ、外の方に行ってた人も帰ってくるかな…)

ディスプレイの端に表示されている時計に一瞬目をやり、マウスを動かす。自分が受け持っていた仕事を確認しようとして、ファイルを開き――

(……ん?)

――振動。そしてバイブ音。
誠司はとっさに、先程見やったばかりの時計に再び目を向け、はっとなる。直後、スーツの内ポケットに入れていた自分の携帯を急いで取り出した。そして、サブディスプレイに表示された文字を目でさっと読む。

霧澤 玲

それは、彼が交際を始めた女性の名。その事を認識しただけで、心拍数が、上がる。

――告白の後、交際を始めた二人だったが、その事実は誰にも知られていない。
社内恋愛、とは言っても、誠司は社員。そして玲は社長。言うなれば身分違いの恋である。
故に、発覚すればあらぬ噂をたてられる。加えて、玲の立場から考えて、会社の運営状況にも少なからず影響が及ぶ。それを考えると、あまりおおっぴらにはできない。
そのため、二人は様々な苦心を重ね、「発覚する危険を最低限にまで抑えた交際」を始めたのだ。

彼は携帯を開き、メールを見ようとしてボタンを押した。しかし、画面に表示されたのはメールの中身ではなく、「ロックNo.?」の文字。
(……ああもう…!)
そういえば、第三者の目にさらされるのを考慮してロックをかけていた――パスワードを入力する僅かな時間すら惜しく感じながら、誠司はボタンを押していく。そして、パスワードを入力し終わり、逸る気持ちを今頃になって抑えながら、受信したメールを開いた。

「件名:今日の連絡
本文:今日は定時で終わる?」

短い一言。メールは、それだけ。
しかし、それだけでも誠司は深呼吸。高鳴りつつある自分の気持ちを、落ち着かせる。

――それから、数拍。

気持ちが落ち着いてきた事を確認した彼は、素早く返信メールを作成。そして、できあがった内容を確認した。

「件名:Re:今日の連絡
本文:勤務記録の入力で定時終了にはなりませんが、大体終わりそうです。もし遅くなりそうだったらまた連絡しますから、あの喫茶店で待ち合わせしましょう」

(……よし)
一人頷く。
メールを送信。
送信が完了する。
そうしてから、誠司は携帯をデスクの上に置いた。その後、すぐにパソコンに向き直る。

(…さっさと確認して、自分の仕事だけでも終わらせておこう。そうすれば他の人のフォローに回れる)

――その目には、より強くなったやる気の炎が灯っていた。


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