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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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Dawn-7

「あの祠がどうした?」

「あの中に、刀が閉まってあるはずだ…。」

「何故解る?」

男はへへ、と笑った。

「がきの頃、あの祠に忍び込んで見つけたんだ…昔の話だから今は使いもんになるかどうかはわかんねえけど…お前になら扱えるような気がする。」

イナサはうなずいて言った。

「お前はそこで寝ていろ!人間が立ち入ることの出来る戦いではない!」

そして、一陣の風が吹いたと思ったら、イナサの姿は消えていた。

「…消えやがった。」

あのバイクを借りて来い、戦える場所へつれていけ、武器の場所は何処だ…それで今度は寝てろ、かよ…

「何様か知らんが…そんな風にぞんざいに扱われちゃあ黙ってられねえよ、な…。」



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「人間?!」

久々に村に戻った幼馴染が、縁談をまとめてきた。それは彼の両親が彼に施した呪術によって、武器を得るための縁談だ。呪いを受けたもの同士が交わらないと意味を成さない。

だが、その相手が人間と血を分けたものであると聞いてイナサは耳を疑った。

「人間がこの戦いに加わるのか?」

「ああ…だが、片親は狗族だ。支障が出るわけでもあるまい。」

自分だって人間嫌いの癖に、妙に納得したような声で話す飃に頭にきた。人間がこの村に何をしたか…彼の父親に、彼の弟に何をしたか、イナサは知っていた。

―なんと言う皮肉だろう。

「武器を手に入れたら、さっさと離縁してしまえばよい。」

吐き捨てるように口にしたイナサの言葉に、飃は少し難しい顔をして返した。

「いや…。離縁はしない。」

小さい頃、彼らはよく笑った。何でもないことに、よく笑って、よく怒って…毎日がひどく楽しかった。あの人間が来て、村をめちゃくちゃにしていくまでは。

あの一件は、まるで染みのように生き残った者たちの心の中に残った。表情を曇らせ、寡黙にし、目つきだけをただ切っ先のように尖らせた。飃は、自分の中で目覚めてしまったあなじを制御するために中国へ行き、戻ってきた時には村で一番の年長者になっていた。長という重責を背負い、また呪われた長柄を振るうべき者としての期待にさらされ、かつての面影はすっかり消えてしまった…。負けず嫌いで、泣き虫で、大きな声でよく笑う子供だった、飃の姿は。

「ずいぶんと人間贔屓になったのだな。」

それを知っているから、イナサの口から出たのは叱咤にも似た厳しい声色だった。飃はただ一言、

「ああ…そうかもしれん。」

とだけ口にした。


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