私の涙、いくらですか?2-2
*
面接日当日。
私は今バスでバイト先に向かっている、はずだ。
(これ、おかしくない?)
バスに揺られながら、私は硬直する。
(えっ?絶対おかしいって…どこに行く気ーーー!?)
そのバスに同乗している人は誰もいない。
崖沿いの道路をカーブしながらぐるぐると登っているだけだった。
有り得ない!!
どうしてバイト先がこんな山奥なのよ?崖に囲まれてるのよ!?
私は高い所苦手なんだからーーーーー!!
そして、大体知り尽くしていると思っていたこの町に、こんな山があったことに、世の中の広さとついでに高さを感じた。
自給と条件の良さも納得できる。
(こんな所、誰も働かないでしょうね!!)
それが、バイト先に着く前に私が感じた第一印象だった。
「で、でかっ…」
驚きの連続。
先程のバスで精神的に追い詰められた私が、降車して見たのは異様な光景だった。
目の前に巨大な豪邸が立ちはだかっている。
白塗りの壁。沢山の柱に支えられて、数え切れない程の窓を包容した大邸宅。
それにプールまであるのが、ここからでも見える。