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「とある日の霊能者その」
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「とある日の霊能者その2」-2

「悪いね。見せてもらっていいか?」
目が合った!
「う、ううううん!」
それだけなのに、こんなにもドキドキする……。彼に聞こえてしまうんじゃないか、本気でそう思った。
なんとか平静を装うとしたけど、
「名前、なんていうんだ?」
「ふぇ!?」
無理だった。
「……なんだよ。そんな大きな声出すようなことか?」
見れば仲里君の周りに集まろうとしていた男子や女子数人が、奇異な目でボクを見ていた。……失敗だ。
「あ……ああいやえーと……」
なんとか取り繕おうとすると、
「……なあ、名前」
仲里君が助け船を出してくれた。ボクはその問いに早口で答える。
「……水上、涼香」
「へぇ……まあこれからよろしく、水上」
仲里君は頬杖を着き、歯を見せて笑っていた。
その仕草が、もう、良すぎて。
ボクは思いっきり赤面してしまうわけで。
「なあ!ザ・転校生、仲里拓也君よ!」
「ん?」
「とりあえず、このクラスのメンバーを紹介しようじゃないか!」
「あー!それいい!」
「俺は加藤和輝ってんだ」
「私は金山美夜子っていうの」
「僕は……」
「私は……」
皆が自己紹介するのを、ボクは見るとも見ていないとも言えた。それだけ呆然としていたんだと思う。
ああ、それにしても、一目惚れか。どうしよう。
やっぱり、告白とかするのかなぁ。
「……?」
これじゃあなんだか、他人事みたいだ。しっかりしないと。これはボクのことなんだから。
「へぇ〜、仲里君は前の学校ではそんなことを」
「大したことじゃないんだけどな」
もう一度ちらりと盗み見る。また鼓動が高鳴った。
告白は……まだ速い。お互い知り合ったばかりだ。それなのに、いきなり告白っていうのはどうだろう。
「え!マジで!?」
「ああ。なんなら行ってみるか?」
速くもクラスに馴染み始めている仲里君。数人の男女に囲まれ、なんらかの話をしている。私はなにも話せない。隣りの席だっていうのに。そんな度胸がなかった。一目惚れの相手に、気軽に話しかけられる度胸が。


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