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「とある日の霊能者その」
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「とある日の霊能者その5」-2

嫌な夢を見た。
それは、血生臭い夢。
ボクが鋏を持って、笑いながら誰かをめった刺しにしている。
笑いながら、そう、笑いながら。
こんなのはボクじゃない。そうやって否定するけど、
そのボクは誰かを何度も何度も何度も何度も何度も……刺していた。
最後まで、ボクは笑っていた。


はっ、と目が覚めた。
良かった、夢で、と安心した。本当に良かった。

なのに。

「…………」
この、目の前で倒れている人は誰だろう。腹から血をたくさん出して、うずくまっている。
その血の臭いに思わず鼻をつまんだ。これ以上嗅ぎたくない。なにより、早く救急車を呼ばないと。
呼ばないと、いけないのに。
ボクは止まってしまう。
だってその人が仲里くんだったから。
「正気に戻ったか、水上……」
何故、仲里くんがこんな姿になっているのだろう。
何故こんなにも血を流しているのだろう。
誰がこんな事をやったん――
「…………」
ボクは、自分の手を見て、絶句した。

ボクの手には、血まみれの鋏があった。

「う」
何故、ボクはこんな物騒な物を持っているんだろう。
「うあ」
何故、血まみれなんだろう。
「うああ」
疑いようもなく、仲里くんを刺したからだ、

ボクが。

「うあああああああ!!」
絶叫。
心の底からの、絶叫。
違う。違う違う違う違う!ボクはこんな事をしない!したくない!出来るわけがない!好きな人を、こんな、こんな……!
「水上……」
仲里くんが腹を押さえながらボクに口を開く。
ボクは半狂乱になりながらも仲里くんの傍によってその手を取った。
「仲里くん!仲里くん!」
必死に声をかける。
仲里くんは凄く冷たかったから。
「水上……。お前じゃない……。俺を刺したのは……お前……じゃ……な……」
そう言って、仲里くんの手は、

ゆっくりと地へと落ちていった。


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