「美女と野獣・・・」-10
「またいつものアレか?お前も好きだなーったく。ひゃっひゃっひゃ!」
いつものアレ・・・?だから笑うトコじゃないってば・・・
「今回も当然混ぜてくれんだろ?なぁ?ぶひゃひゃひゃ!」
今回も・・・?混ぜてくれる・・・?!
登場したのは男5人だった。
口調と会話で紛れも無い彼の友人というのが瞬時に分かった。
誰かが言った気になる単語はそれはまぁ置いといて、
いくらなんでも友人に見つかってしまってはこのまま続行するハズがない。
微かでもあり大きくもある望みを持ちつつ、彼の反応を伺う。
「オメーら・・・ビビらせんなよ!ったくよぉ!どーなるかと思ったぜ。」
「相変わらず鬼だなお前も。こんな可愛い子を襲ったりして・・・」
「今までの女よりはるかに可愛いジャン!」
「そんな事はどうでもいいんだよ!とりあえず手伝ってくれよ。上に運ぶの。」
「またあそこかよ!わっはっは!好きだなーお前も!」
犯されるという窮地に立たされている中で登場した正体不明の助っ人に、
助かった、という勝手気ままな妄想から得た安堵感が、
猛烈な勢いで全身から醒めていくのがはっきりと分かった。
Rは彼の外見に惚れた訳ではなく、とは言っても彼の外見はブ男とは真逆の、
整った顔立ちのいわるゆ美形タイプなハンサムボーイだが、
顔に似合わず一生懸命に汗水垂らしてバスケに励んでいる姿に惚れたのだった。
茶髪に染め、耳にはピアスをし、制服のズボンを腰ではいて、
歩くときには常にポケットに手を突っ込んでいる様なこの不良軍団と仲良くツルんでいる等とは
まさか誰が予想しただろうか。
ましてや過去にもこの連中と一緒に、一人のか弱い女子を襲った事がある等とは・・・。
1対1でも何も抵抗する事が出来なかったのに、6対1では到底敵うハズもない。
それは頭の片隅で理解しつつも、なんとか犯されまいと、なんとか逃れようと、必死でもがき暴れるが、
一人が右足を、一人が左足を、そして一人が右手、もう一人が左手をそれぞれ持って階段を上がっている為に、
豚の丸焼きの如くブランブラーンとただそう運ばれるしかなかった。
いつの間にやら口の中には微妙に汗の味がする彼のハンカチが突っ込まれていた。
喉が潰れるほどの大声を出したところで、全てその憎まれしハンカチによってキレイに拭い取られてしまう。
4人に運ばせている彼とふと目が合い、渾身の願いを込めて、助けて!と目で訴えるが、
藁をもすがる思いとはまさにこの事。
無理矢理にでもRとSEXしようとしたのは当の彼自身なのだから無謀も無謀である。
鋭い目つきでジッとRを見つめているが、口元は微かに緩んでいた。