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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?3〜堂々巡りと結論情事?〜-1

――玲の告白から五日。

「……はぁ…」

職場にて誠司は、パソコンの画面を前にため息をついていた。
ちなみに今は午前の勤務時間。本来なら課長なり部長なりが叱責にでも来そうだが、部長・課長両名ともに席を空けているため、その心配はない。もっとも、部長は今、末端の社員を叱責したくてもできない程忙しいし、課長に至っては端から叱責する気もない。そもそも誠司は全く仕事を持っていないため、叱責自体無理がある。
故に誠司は、勤務時間中に呑気にため息をつく事ができるのだ。

しかし、傍目には呑気に見えても、誠司自身は決して呑気なわけではない。

(…どうしよう…)
むしろ、追い詰められて焦っている。

彼は、玲の告白から既に五日経っているにもかかわらず、告白に対する明確な答えを出せないでいたのだ。

(断ったとしても、適材適所を第一とする玲さんは俺を冷遇したりはしないはず。逆に付き合ったとしても、それだけで俺を優遇したりはしないだろう。…そもそも、利害とか損得とかは交際に関係ない)
頭を巡らせ、決める上で不必要な要素を削る。しかしその作業は、この五日間に何度も行っている。
(…で、玲さんは俺の事が好き…だったら付き合った方がいいのかもしれないけど…)
わかりきった事を、また確認する。
(…でも、俺は単なる社員で、玲さんは社長…)
ここでの逡巡も、実は何度もしている。
(…付き合うべきか?それとも…止めるべきか?)
そしてその自問も、既に何度も繰り返している。
(…やっぱり立場が違い過ぎるのが気になって、決められない…)
そして、帰着する所は常に同じ。

つまり誠司は、何度頭を巡らせても必ず、「地位の違い」で悩んでしまうのだ。

ならば他人に相談、というのが普通の良策だが、誠司の場合はあまりに勝手が違う。何せ、告白してきた相手は会社の社長。返事次第で誠司は所謂「逆版・玉の輿」となる。そうなると誠司の周囲には、その恩恵を受けようという邪な考えを持つ者が何人かは現れるようになる。そうでなくてもその可能性があるだけで、ろくに考えず安易に交際を求めるような輩はいるであろう。
そういった事を考えるとどうしても、他人に相談、というのが良策に思えない。
しかし、一人で考えたところで、いつまで経っても答えが出るわけではない。

――つまり、ジレンマ。にっちもさっちもいかない状態となったのだ。

ちなみに誠司は、このジレンマに一日の大半を費やしている。仕事がなくて暇、というのもその一因ではあるが、それだけ誠司がこの問題を重く見ている、という事の表れであろう。
しかし――
(…やっぱり立場が違い過ぎるのが気になって、決められない…)
また帰着。これでは、残り二日で結論を出すのは難しそうである。
――と、そこへ。

「…おいこら、誠司」

不意に声をかけられた。堂々巡りの思考をしばし休めることにした誠司は、その声に振り向く。


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