特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.6-5
やっとの事で昇降口に着き、靴を履きかえて急いで職員用の駐車場に向かう。辺りをキョロキョロと伺い、キーレスエントリーのボタンを押して、言われた通り後部座席に体を滑り込ませる。
ぜいぜいと吐く息が荒い。過度の緊張と羞恥によるものだとゆりはため息をついた。
スカートの内側、座った拍子に濡れた蜜が太腿に触れた。生暖かい癖にぴしょぴしょと濡れる感覚が分かってしまう。
(あたしってこんなに変態だったっけ?)
バックミラーに映る自分の顔がひどくいやらしい。処女で飢えてる女の顔。
(先生に脅されるのかな?それとも先生と……私、先生になら………)
…コンコンッ
窓をノックされる音で心臓が止まりそうだ。驚いて見上げるとニッコリと微笑む…ゆりの想い人――柏沼が笑っていた。
ゆりがいるのは当然だと満足気に笑っていた。
ドアを開け、ベルトを締めてギアを入れる。エンジンの吹ける音、のろのろと移り行く車窓。校門で左右を確認し、滑らかに車道を進む。
もちろん、ゆりの自宅とは逆方向に。
(先生になら……)
どくんどくんと高鳴る心臓。斜め後ろから見える、柏沼の左耳とあごのラインに惚れ惚れする。整えられた襟足に薄い水色のワイシャツが恰好良い。
(に、じゃなくて…先生、と、なら……)
ゆりの甘い妄想が広がる。柏沼に恋するゆりだから、今の自分の極地が理解できていないのだろう。
だが、そんなのもつかの間だった。
柏沼は優しい男ではない。
ニッコリと笑顔で言うが、実際はとんでもなく―――
「さあ、相澤さん。靴を脱いでシートに足を広げてくれるかな」
―――極悪だった。
「え…?」
ゆりは耳を疑う。柏沼の発言が理解できない様であろう。 柏沼はフロントガラスから視線を移さずに淡々と繰り返す。
「だから、シートに深く腰掛けてそのだらし無い局部を開帳するんだよ」
(だらし無い?……開帳?……それって)
「さっさとしてくれないかな?やる気ないなら今日の出来事、インターネットで流しちゃうよ」
と言い、柏沼は背広のポケットからペン型の録音機を出した。
「君のいやらしい声、バッチリ入ってるよ。ちなみに俺の携帯のメモリーにはムービーも録音されてるしね」
フロントガラスに写る柏沼の顔がいやらしく歪んでいる。
「先生、そ…そんな事出来ない……」
震える声で否定をするが、柏沼は笑ってポケットから例の汚れたショーツを取り出した。
骨まで凍みるようなクーラーの最中だが、運転席の窓ガラスを自動で開ける。開けられた隙間から縫うように、熱せられた空気が我先にと流れ込んでくるようだ。