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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第19章-24

変わった体位も、凝った趣向も必要ない。私たちは、なるべくお互いに触れていられるように抱き合ったまま出来るだけ長く繋がっていた…でも、もう…

「…っ、来 てぇ…、飃…!」

私の中の波が大きく唸り始めて、彼を締め付けるのがわかった。彼はキスで返して、そして、お互いの長いため息をキスの合間に漏らしながら、ゆっくりとした引き潮に身をゆだねた。



愛を交わした後の心臓は重く、肋骨を打ちつけるように強く脈打っていた。指一本動かすのも億劫になるような気だるい感覚は、プールを全力で泳いだ後の満足感にも似ていた。傍らの飃の胸も大きく上下していたから、彼も何メートルか泳いできたような感覚にとらわれているのだろう。ふと目が合って、どちらともなく微笑んだ。



いつの間にか落ちてしまった眠りから目覚めると、カーテンの隙間からは、昼の太陽の光が鋭く差し込んでいた。何かに招かれたような気持ちで、シーツをまきつけて窓辺に立つ。カーテンと、窓を開いた。ベランダの手すりの向こうに、満開の桜の花がさざめくように揺れていた。

その木の下をを通るもの全てに祝福を与え、その花を愛でる全てのものの心を喜びで満たす、桜の花。それは、幾たびの雨に耐えて美しく咲いていた。散り際さえも美しいこの花を、人はどんな思いで見つめるだろう。その心が、春の訪れに浮かれ騒ぐ小鳥たちのように、平和で幸せに満ちたものであればいいと、私は我知らず願った。


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