命日が誕生日10-1
【第10話】
嵐の予感
初夏の照り付ける日差しの下で1人の少女が街を歩いていた…
目の下に隈を作り…
頭は痺れ目眩もする…
今は立つ事さえもままならない…
(確にこの辺りから…強い力を感じる…絶対にいるはずだ……)
そぅ…彼女は諦める訳にはいかない…この為に幾日も費やしてきた…
そうしてとある神社の境内で少女は彼を見付けた
彼女は一気に自分の意識が回復していくのを感じる…
遠くから彼を見つめ…
そして徐に立ち上がると呟いた
『間違い無い…彼は人間ではない…』
…彼女は期を伺う…
彼の隙を伺う……
逃がしはしない……
例え幾日でも待つ…
確実に彼を仕留めるその時までは……
騎咲 零…あなたを必ず
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初夏のある日の朝…
暖かな日差しのもと天迦の声が境内に響く…
『零ーー!!もぅ早くぅ!!
遅刻しちゃうよぉー!?』
天迦は、いつまでもテレビの料理番組にかじりつき、離れようとしない零を急かしていた…
「後から追い掛ける!先に出ててくれぇ〜…」
『えぇ〜…!もぉぅ!!
良いもんねぇーーだ!!』
(折角…唯一の誰にも邪魔されないで2人でいれる朝の登校時間なのに………零のバカ!!!!)
そぅなのだ……
最近は、零と二人で過ごせる時間が、極端に減ってきている…
まぁ…家では壱羽も父さんもいたので、以前からなのだが……
前は学校で例え周囲に人がいても、私には友達はおろか話す相手すら満足にいなかった…。
だからなのか、零は常に私の側にいてくれた…
しかし修夜君とのあの事件後…私にも友達とまでは、いかないにしろ
普通にクラスの人達と挨拶や多少の会話は出来るようになってきた…
そのせいなのか…
零は私の隣にいる事をやめた……