命日が誕生日9-3
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私は何も言えなかった
苦悩する零を前に…
自分にはあまりに遠すぎる過ぎ去った過去に…
かけてあげるべき言葉が
私には無かった…
私は零が好きなのに…
零を守ってあげたいのに
私はあまりにも子供で…
あまりにも弱くて……
延々と続く逃げようの無い日々のなかで…
いったい何度罪をみつめ
いったい何度苦しみ…
いったい何度涙し…
いったい何度自分を責めたんだろう……
零の…長すぎて辛すぎる
過去に…
私は涙を堪えるだけで精一杯だった…
コンコン…
ノック音が私の部屋でやけに大きな音で響く
『……はぃ…』
(……こんな時でも無視出来ない自分が嫌だ…)
「やっぽぉ〜姉ちゃん入るょぉ〜♪」
『うん!……で?…どぅしたの?…壱羽♪』
「うーーーん……やっぱりかぁー……」
『……え!?…な…何よ』
「喧嘩?……違うな…」
『な…なんの事よ!』
「零兄の事…でしょ?」
『ぇ……ャ…ば……ち…違うわょーぉ!!』
「無駄無駄…♪姉ちゃん
ちーっとも詐欺師向きじゃないもん」
『……むぅ……』
(そんなもの初めからなりたく無いわよ!!)
「まっ……なんだか知らないけどさ……
零兄に会う前の…姉ちゃんに戻りたいの…?」
『……ぇ!?』
「色々勝手に溜め込んで
1人悩んでイジケて…
弱っちぃクセに強がって
パンクするまでウジウジウジウジウジウジウジウジウジウジウジウジ…」
(ちょっ…いくらなんでもウジウジ多くない!?)
「ふぅ……姉ちゃんも、結構?自然に笑えるよぅになったし…部屋で篭る事もなくなったし…
…って少しは安心…っおっと!見直してたんだけどねぇ〜〜?」
『……ごめんね…』