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WITH YOU...
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WITH YOU...-2

―はぁ。
ひとつため息をついてたばこを吸う。
少し広くなった気がする部屋を眺めながら、掃除でもするか。と、ひとりごちてカーペットにコロコロをかけ、床を拭く。
…1人が平気やなくなったん、いつからやろ?
両親は私が十歳の時離婚して母と弟と3人で暮らしてたけど、毎日仕事に出る母を見て孤独とか不安とか、そういった類のものは全く感じなかった。
今までいろんな男と付き合ってきたけど、その時だってひとりにされても何ともなかった。
…あ。たぶん和志やな。うん。あの時からや。
もうアイツはこりごりやけど。
苦笑しながら前の男を思い出す。
時計はあまり進んでいない。
1人やと時間長いな…。コーヒーをブラックで淹れてすすりながら新聞に目を通す。
我ながらこの年にしては老けてるなと思う。
今頃同い年の女子高生たちはみんなスヤスヤねむっているか、オールナイトで仲良くなった上下の瞼を必死にこじ開けているかのどちらかだろう。
「そぉんな時期も…あったよなぁ。はぁ…。」
何となく置いてけぼりにされてるような気がする。
別に遊んでいる子がわるいわけじゃない。
でも、なんでウチはこんなに一生懸命働かなあかんねやろ…と、自分と周りの差に愚痴がもれる。
「まぁ…もうちょい頑張ってみよか」
沙樹が自分を元気づけるための合い言葉である。
時計の針はそろそろ七時を指す。


雲がよく晴れ、朝日が輝き…そんな気持ちのいい朝。


――沙樹の運命を変えるであろう日の朝――

「沙樹大丈夫?顔色悪いで」
いつも通り仕事をしているとスタッフの中でも特別仲の良い陸が休憩室で話しかけてきた。
「そ?体なんともないねんけどなぁ…なんか胸騒ぎが…」
「おぉっと〜友哉が浮気してたりしてぇ」
陸は友哉とも仲が良く、いつも相談に乗ってくれる。ホンマにエェやつ。顔色だって陸が初めて気づいてくれたのだ。
ただこの冗談はいただけない。
「は〜許せねーその冗談」
陸を半笑いで睨みつける。
「まぁまぁまぁッほんまにしとったら俺んトコ来いよ」
「友哉が浮気なんかするかいな」
〜♪
陸に突っ込みをいれると沙樹の携帯が鳴り響く。画面には知らない番号が表示されている。
「誰?」
一瞬止まる沙樹をみて陸がたずねる。
「ゃ…わからん」
答えながら通話ボタンを押す。
「…もしもし」
いつもなら知らない番号は絶対応答しない沙樹。
嫌な予感がした。
―陸がアホなこと言うからや。思わず出てしもたやんか。


時刻は昼下がり。

朝の天気が一転して黒い雲が広がる。

絶対に晴れそうにない。
黒く分厚く広がる雲。



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