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WITH YOU...
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WITH YOU...-3

「…あの、お間違いでは?確かに私は…えぇ。はい。ですが…」
タバコを吸いながらボーっとしていた陸が、カタカタとふるえ今にも泣き出しそうな沙樹に気づく。
「…んな…」
こらえきれず大粒の涙がこぼれる。
「おい、どないしてん」
「…う、そ…やろ?」
震える手が携帯を落とす。
「おい!!沙樹!?」
状況がわからない陸はとりあえず話せそうにない沙樹を抱きしめてやりながら電話に出る。
「すみません。沙樹の友人ですが…一体何が?」
『こちら出雲○○救急救命センターですが、相田友哉さんが先ほど搬送されて一刻を争う状態です。どうやら現場での事故らしいんですが…沙樹さんのお名前を何度も呼ばれるのでご連絡を。こちらへ向かっていただけないでしょうか』
まず名乗られた時点で大体の予想はついた。だがあまりにも信じ難い。
だって友哉は…
「………間違いなく相田友哉なんですか」
『えぇ…お気の毒ですが…』
―くそったれがッ!!!
「わかりました。結構時間かかりますが…えぇはい。それぐらいです。はい」
電話を切り沙樹に目をやると力の入らない手でしがみつき、嘘や…ありえへん…なんで?と、泣きながら繰り返している。
そこへ、部長が通りすがり、沙樹の泣く声を耳にして笑いながら入ってきた。
「あ〜!佐伯〜あかんでぇ。沙樹チャンいじめたや…」
「部長!!」
「な…なんやねん」
大きな声で叫ばれたのと、いつになく真剣な眼差しに少し戸惑い及び腰になる。
「沙樹の…出張行ってる彼が…現場で事故あって…」そこまで言われて何となく予想がついた。
いつも絶対弱音を吐かない沙樹がまるで子供がおもちゃを取り上げられたように泣いている。
「行くんか?」
「…!いいんですか!?」
「お前が泣いてようが関係ないが沙樹チャンは今や店の顔やからなぁ。それがこんなに泣いて…仕事にならんやろ」
皮肉っぽく、でも優しく強い目で答えてくれた部長に深々と礼をし、沙樹をつれて車に乗り込んだ。
遠くで雷がなる。

ラジオが伝える嫌な天気。

なんでやねん…

なんで友哉やねん…

「俺の誕生日な、沙樹連れて一緒に来て欲しいとこあんねん」
「なんや嬉しそうな顔して。気持ち悪いなぁ」
「そぉ言うなや。絶対喜ぶで沙樹。それ考えるとなぁ」
「で、どこ??」
「あんな…」

ほんの一週間前に友哉と電話でそんな会話をした。
思い出すと泣きそうになる。
――お前、約束守れや。何沙樹のこと泣かしとんねん。
また…またこいつを1人にする気か!?

心の中で激しく友哉に抗議する。
バタバタと大粒の雨がうるさくてラジオのボリュームを上げ、アクセルを限界まで踏み、道を急いだ。

胸がざわつく。

沙樹はもう泣く元気もないようで膝に肘を置き両手を組み、その上に額を付け必死に祈っている。。

――正直あんなにスピードをだして事故らなかったのが不思議だ。
病院に着くとそこはもう静まり返っていた。
ドアの前で引き返したくなる。
それでも取っ手に手をかけ、震える沙樹を、陸はもう見ていられなかった。



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