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猫又たまの思い出
【コメディ 恋愛小説】

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猫又たまの思い出-4

「勘違いするなっ! あくまで人間の中ではという話だっ。別にお前に好意をもっているわけではないんだぞっ!」
私が慌てる様を見て楽しそうに笑う十次郎を見ていると無性に腹が立つのと同時に久方振りの人間との会話に楽しさを感じている私がいた。
「なあ、人間が嫌いってことはやっぱり嫌なことがあったからなんだろ?」
「まあな……良い事もあったけど、それの数十倍嫌な思いもしました。いろんな人間も見てきました。良い人間も悪い人間も……。そんな私から見た十次郎はまだまともな方だと思いますよ」
「……そうかな? 俺にだってエゴはあるし、汚れているとこだってあるよ。聖人君子じゃないさ」
「そんなのは当たり前だ。誰にだってエゴや後ろ暗いとこはあります。だけど、それをいかに受け入れ、前向きに生きるかが大事なのでは? 私はそう思います……」
「俺は……たまの友達になる資格はあるのかな?」
「おかしなことを言うんですね。友達になる為には資格がいるんですか? 少なくとも私は好きか嫌いかが判断基準なのですが……。そして、私は十次郎のことは嫌いではないと言ったはずです」
思い悩む十次郎に私は笑顔で答えます。
きっと、これで良いのでしょう。
この少し風変わりな人間。槙村十次郎は私が抱えているものを共に背負ってくれるかもしれません。
私のこの思いが勘違いだったとしても、後悔はしません。
彼と友誼を結ぶことがきっと私の何かを変えてくれると信じていますから……。
春人がリビングに入りソファーに目をやると、そこにはメイド姿の猫耳娘が丸くなって眠っていた。
「まったく、こんなとこで寝ちゃって……。しょうがないなぁ」
そう言いながら、春人はソファーで眠るたまに毛布を掛けた。
「たっだいまーっ!!」
玄関から元気な声が聞こえてくる。
おそらく声の主は優美だろう。
「おやつ、おやつ、今日のおやつはなんだろ〜♪」
歌いながらリビングに来た優美に僕は自分の口に人差し指を当てて静かにする様に促すと、優美もソファーで寝ているたまに気付き笑顔になった。
「相変わらずたまってば可愛いなぁ。ねえ、春にぃ。写メ撮っちゃだめ?」
小さい声で囁く優美の頭を撫でながら「だめ」と一言だけ言うとると、優美を連れてキッチンでみんなのおやつの準備をするのだった。


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