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ヴァンパイアプリンス
【ファンタジー 官能小説】

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ヴァンパイアプリンス5-3

『まぁ-…いいか。で、どっちが鬼をやるの?』
『何言ってんの!!二人で隠れるの!!行こ!!』
『は…!?』
(それじゃあかくれんぼじゃないじゃん!!) そうツッコミ前に、千恵は僕の手を引いて走り出していた。
―キィ…
『うゎ-…。』
近くにお化け屋敷っぽい古い洋館があって、千恵はソコに僕を連れて行った。
ドアを開けると、埃っぽい匂いがする。
(ココに連れて来たかっただけか…)
千恵にも怖い物があるようで、独りではココに来れなかったらしい。
『中に入ってみようよ!!』
千恵は好奇心旺盛で、僕の手を引き、どんどん中に入っていった。中に入れば入る程、玄関から差し込む光は消えていく。
『暗い〜…』
千恵は、しっかりと手を握る。
(暗い…?)
僕は、生まれてから一度も暗さを感じた事がない。
(僕には…普通に見えるのに。)
その時僕は、その事について深く考えなかった。自分の事を吸血鬼だって自覚もなかったから…。
『あ…、千恵ちゃん、前に蜘蛛の巣があるよ。』
『え?きゃ!!』
千恵は蜘蛛の巣につっこんでしまった。
『ほら…。だから言ったじゃん。千恵ちゃんは、何で見えないの??』
僕は千恵についた蜘蛛の巣を取る。
『何でって…暗くて見えないよ。なんで宏樹くんは見え…』
千恵と目があった瞬間、千恵の言葉が止まった。
『宏樹く…ん、何で宏樹の目…光ってるの?』
千恵は少しずつ、後ずさりした。
『え?』
僕は、千恵が言っている意味がわからなかった。
『宏樹くんの目…猫みたいに光ってる…』
『何言って…』
僕が千恵に触れた時、千恵は『嫌ッ』と言って手を払った。
『触らないで!!怖い!!』
千恵はそう言い放つと、泣きながら出口の方に走って行った。
『千恵ちゃん!!』
僕は何が何だかわからなくて、とりあえず千恵を追い掛けた。
僕が千恵の家に行くと、千恵は千恵のお母さんにしがみついて泣いていた。
『わ-ん…ママ!!宏樹くんの目が光ってる!!怖いよぉッひっく』
『千恵、何見たのかしら…。ゴメンね、宏樹くん。何だかわからないけど、千恵、宏樹くんに会いたくないみたい。』
千恵のお母さんは困ったように言った。
『また千恵と遊んであげてね。』
と、お母さんは言ったけれど…それから千恵は僕を避けるようになって、一生一緒に遊ぶ事はなかった。
その日の夜…
『ただいま…』
『お帰り。今日も千恵ちゃんと遊んでたの?』
お母さんがいつものように台所に立ちながら、僕に尋ねる。
『…く…ひっく』
『宏樹…?』
いつもなら…
『うん!!今日ね、千恵ちゃんとね〜』
と、話し始める僕が突然泣き出したので、母は驚いた。
『どうした?ケンカでもした?』
母は夕飯を作る手を休め、下に目を落としながら泣く僕に寄る。
『うぅ〜…』
僕は首を横に振った。
『…どうした?』
母は僕を抱き締める。
『宏樹が泣くなんて珍しい事もあるものねぇ。手のかからない子だと思ってたけど、やっぱりちゃんと子供だわ。』
母は僕が泣き止むまで、ずっと抱き締めてくれた。
『ただいま-♪沙詠子、宏樹♪父が帰ったぞぉ-♪♪♪ッてお-い!!』
テンションの高い父が乱入。笑


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